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第3話
やはり夕夜は月豊をよく理解している。
――――そう、月豊は悩んでいた。
前々から少しずつ感じていた事だったがはっきりとした不安にそれが変わったのは、約一週間前の自宅での夕食の時だった。
「私、海桜高校に行く」
妹の突然の発言に家族は全員唖然とした。
海桜高校はレベルの高い学校だ。そんな所を彼女は何故選んだのだろうか。
それを月豊が問うと妹は言った。
「だって私、行きたい大学があるんだもん。私ね、叶えたい夢があるから……」
その言葉が月豊に大きなショックを与えた。
月豊は将来のことなど未だに考えていなかったからだ。
だから妹が自分よりも先に夢を持っていたことに驚き、そしてその夢に向かっているのを知って、自分が情けないと思うようになってしまったのだ。
(将来の夢、か……)
大学には行きたいとは思っている。
しかし、目標も無いままで志望校を決めてもそれはもしかすれば意味のないことになるかもしれない。
そう思うからこそ、月豊は自分が将来何をしたいのか、それを悩んでいた。