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エッセイ・詩・告知などのシリーズ

めだかの卒業生

作者: ウナム立早


 わたしが学校の生徒だったとき

 みんなでめだかの学校を歌った


 川の中を泳ぐめだかには

 先生と生徒がいるらしい

 なんだか楽しそうだと思った


 だけど本当に見たことはなかった

 みんなに聞いても

 めだかの学校のことは知らなかった


 ある日

 先生が教室に大きな水槽をもってきた


 めだかの学校をもってきたよ

 先生はそういった


 川の中でもなく

 先生も生徒もわからない

 それでも学校がだんだんと見えてきた

 生徒はこの子

 先生はこの子

 めだかの学校って本当にあるんだと

 子どものわたしは思った




 わたしが卒業して大人になったあと

 地元でもよおし物があった


 川の中を泳ぐめだかを

 実際に観察できるらしい

 なんだか懐かしい感じがした

 

 わたしは参加してみることにした

 川の中をのぞくと

 めだかたちがたしかに泳いでいた

 

 だけど

 わたしに見えたのはめだかの群れだった


 めだかの学校は見えなかった

 不意にさみしくなった


 川の中にいて

 成魚も稚魚も泳いでる

 それでも学校はちっとも現れない

 生徒はどこへ

 先生はどこへ

 めだかの学校はどこへ行ったのだろう

 大人のわたしは考えた


 めだかたちも卒業したのだろうか

 それとも

 卒業したのはわたしだけなのだろうか



最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
大人になってから見たメダカ達は、きっと、「社会」になっていたんだろうな…。 主人公の心を写す鏡の様な役割が、「群れ」には有ったのだろう。集団の中の自分、を投影できる存在…。 幼い「わたし」を導いて…
大人になってから見た川のメダカは人が川に放流したメダカだったんじゃないでしょうか? 私が自然の中のメダカを見たのは60年近く昔、小学校に入る前に親父の連れられて街の近くを流れる川の川原で見ました。…
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