めだかの卒業生
わたしが学校の生徒だったとき
みんなでめだかの学校を歌った
川の中を泳ぐめだかには
先生と生徒がいるらしい
なんだか楽しそうだと思った
だけど本当に見たことはなかった
みんなに聞いても
めだかの学校のことは知らなかった
ある日
先生が教室に大きな水槽をもってきた
めだかの学校をもってきたよ
先生はそういった
川の中でもなく
先生も生徒もわからない
それでも学校がだんだんと見えてきた
生徒はこの子
先生はこの子
めだかの学校って本当にあるんだと
子どものわたしは思った
わたしが卒業して大人になったあと
地元で催し物があった
川の中を泳ぐめだかを
実際に観察できるらしい
なんだか懐かしい感じがした
わたしは参加してみることにした
川の中をのぞくと
めだかたちがたしかに泳いでいた
だけど
わたしに見えたのはめだかの群れだった
めだかの学校は見えなかった
不意にさみしくなった
川の中にいて
成魚も稚魚も泳いでる
それでも学校はちっとも現れない
生徒はどこへ
先生はどこへ
めだかの学校はどこへ行ったのだろう
大人のわたしは考えた
めだかたちも卒業したのだろうか
それとも
卒業したのはわたしだけなのだろうか
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。