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幕間・星空の天幕亭のある日・3

 2章開始。読んでくれた方に百万の感謝を。

 引き続きよろしくお願いいたします。

 

(ファルミーガ)の営巣、25階層29分35秒。際どい所でしたけど目標クリアです』

『楽しんでもらえましたか?』

『また来週も同じ時間にやります。見てくださいね』


 そう言って画面の中の4人が脱出のスクロールを使った。

 息を詰めて画面の前でたむろしていた60人ほどの客が、呼吸することを思い出したように息を吐く。

 同時に拍手が起こった。


「今回は無理だと思ったぜ、25階層30分だぜ」

「信じられん速さだ。理解できん」

「とりあえず女将さん、ビールくれ、喉が渇いた」

「俺はツマミも欲しい。負けた奴払えよ」


「はいはい、ちょっとお待ちよ」


 グレイスが言われるままにビールを次々と注ぐ。

 洗い場には大量のビールジョッキと汚れた皿が置かれていて、手伝いの店員が大慌てで洗っていた。


 店は60人ほどでほぼ満員だ。

 アストンたちのパーティは3回目のアタックでこれだけの客をすでに集めている。

 客が集まれば店も潤う。


「あの速さは理解できん。というかなんで道を間違えない?」

「レアスキルでMAPが全部わかるとか?」

「いや、そんなスキルなんて聞いたことないぞ」

「だがそれ以外に説明できるか?」

「分かんね」

「しかし、何が面白いかってなぁ、あの息が詰まる感じだよな」


 そう言って客が頷き合う。


「あと1分ってところじゃ俺は心臓止まりそうになったよ」

「俺もだ」


 そう言って客が笑い合う。話の輪の中にはマーカスもいた。


「しかし……お前等、俺に感謝しろよ」


 マーカスがビールのジョッキを煽りながら言う


「何がだ?」

「おいおい、忘れてるようだな。あの日、あいつらのアタックを見ようと言ったのは俺だぞ。俺が言わなかったらストレージの映像を見ていてあいつらのことは見なかったろ」

「だから何だ?」


「もし俺が言わなかったら、あいつらのアタックは誰にも見られず消えたかもしれないわけだ」


 仰々しい口調でマーカスが言う。


「何が言いたいんだ?」

「つまり……あいつらは俺が育てたと言っても過言じゃない」


 マーカスがふんぞり返りながら言うが。


「調子に乗るなコラァ!」

「舐めんな」

「勝手なこと言ってんじゃねえぞ」


 一瞬の沈黙の後に楽し気な罵声が飛び交った。

 皿と木の器が宙を舞う。


「ふん、なんとでも言え」


 アタックを見るのが趣味の連中にとって、若い才能を見出す目利きであるというのは自慢のタネである。


「よし、じゃあ女将さん、いいか?」

「なに?」


「さっきの俺の勝ち分、52,000クラウンを全部チアメニューにして皆に振舞ってくれ」


 マーカスが言って周囲がどよめいた。

 チアメニューはこういう酒場が独自に用意する食事や酒のメニューだ。


 少し割高で、客が払った料金の一部がアタッカーへの報酬となる。

 有名なパーティは単なるアタック以外にこのチアメニューの売上がかなり大きな副収入になる。


「おいおい、本気かよ」

「マーカスの奢りだってよ」

「マジか?」

「ごちそうさん!」


 店内にひと際大きい拍手と歓声が上がった。


「何ってったって俺の推しだからな、どうだ」

「サンキュー。これなら推しとか言ってもいいぞ」

「俺が育てたとか言っても許す」

「はいはい、ちょっとお待ちなさいよ。準備するからね」


 









 わしが育てた(AA略


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