『トカゲ』
社会にでた青年は、トカゲになる。
今までの、青臭い感情は、もうどこにもない。
黒いスーツと、黒い心で、オフィスに佇む。太陽を睨みつける。
弱い少年を見ては、この世は弱肉強食だと、言い捨て、否定する。
そこに、かつての面影があったことなど、もはや覚えてなどいない。
そうして、長い尻尾が生えてくる。
そこに存在するのは、上手く生きるためにと、少年を捨て去って生まれた、アスファルトに映る悲しい影。
でも、そんなトカゲにも、やはり辛いことはある。
親が死ねば、寂しくなる。
愛する人がいなければ虚しくなる。
より強い人に虐げられると、時に辛くなる。
自己を通せば、孤独になる。
そうして、やっと尻尾が落ちる。
素直に涙を流せるようになる。
セットした髪を崩せる様になる。
再び、太陽を真っ直ぐ見れるようになる。