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エンドワールドの導き手  作者: はむ公
1/1

一人の男

 初めまして、はむ公と申します。

 なろう初投稿で投稿時間もまだ安定していませんが、初の作品なので頑張って完結まで行きます。


 では、本編をどうぞ。



 いつ、誰が言い出したのか解らない世界「エンドワールド」。大地は枯れ果て、海は暴風と雷雨が吹き荒れ、森は全てを飲み込む深淵となり、山は生命を拒絶する。


 目の前に広がる荒野には生命の息吹が感じられない。一歩一歩枯れた大地を踏みしめると、干ばつで捲れた土がサクサクと音を立てる。日光はギラギラと己と大地を照らし、辺りを見渡しても枯れ木が数本見えるだけで、平らな大地が水平線まで永遠に続いている。


 もし、他の誰かがこの光景を見たのならば、明らかに異常な状態であると言うだろうが「ここ」では今の状態が正常なのだ。


「...ここにいるな」


 足を止め、腰に引っ掛けているラジオを起動すると、思わず電源を消したくなる様な雑音が流れる。その音に口から安堵のため息が漏れた。


 ようやく、ようやく見つけることができたのだ。化け物と自然が暴れる中を進み、道どころか人生すら迷わせる森を進み、生きることすら許さない山を越え、ここに辿り着いた。


 痕跡は何も見当たらない、生物の足跡すらない、あるのはラジオから聞こえる雑音のみ。だがそれが自分が探している者が、今ここに存在している証明になる。


 ならば急がねばならない。きっと、目的の人物はこの荒野を彷徨い続けている。()()()()()奴なら大丈夫だが、「この世界」に来たばかりの者にはとても辛いものだ。


「行かねばならない。導かなければならない。それが俺の存在意義なのだから」


 ラジオを止めてまた歩き出す。突き刺す日差しから身体を保護する為の灰色のローブを、ふわりとこの世界には似合わない優しい風が巻き上げようとする。まるで、新たな出会いと己のいつか訪れるであろう人生の分岐を予感させる様に。


 久しく忘れていたその感覚に、複雑な気持ちを抱きながらも足を進める。それは今の停滞した人生が動き出す事への恐怖なのかもしれないし、そんな自分を変えたいという小さな願いなのかもしれない。


 フードを深く被り直し、その気持ちを振り払う。今、自分がすべきことは悩むことではない。この世界で彷徨う者を導くことだ。



 さあ行こう。例えその先に化け物が居ようとも、無慈悲な存在が立ち塞がろうとも、自分の使命である「導き」を遂行するために。進め、迷うな、使命を果たせ。


 終わり(エンドワールド)を歩め「導き手」よ。この世界で()()()()()()()()よ。君の行く末に永遠の終わり(始まり)を。



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