001
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俺は、死んだ。
何故かは思い出せない。
そして、今、更なる絶望が俺を襲う。
『貴様には、【雑魚キャラ確定】の呪いと【無限転生】の加護をやろう。』
そんな...チートすら貰えず、終いには『雑魚』だと...!?
瞬間、発光。
目を覚ますと、俺はゴブリンに転生していた。
目の前には、巨大な骸骨戦士。
『ジャイアント・スケルトン・ソルジャー』とでも呼ぶであろうその怪物は、
俺に剣を向けている。
瞬間、集中。
脚に最大限の力を送り込み、地を蹴り、後ろへ。
コンマ数秒の後、巨大な剣が、地面を抉り、大地の破片は礫となり、飛び散り、暴れ回る。
駆け巡る思考の中で、1つの考えに辿り着く。
【スキル】何か無いのか?
「グギャギャ!(ステータス)」
空間が歪み、そこには青色の画面が。
=====
【名前】無し
【種族】ゴブリン
【職業】ーー
【L V 】1
【HP】 0.01/0.01 【MP】0.01/0.01
【筋力】0.01
【耐久】0.01
【敏捷】0.01
【器用】0.01
【魔力】0.01
【精神】0.01
【幸運】0.01
【通常スキル】 【そよ風魔法Lv1】
【固有スキル】 【初代魔王の血筋Lvー】 【ゴブリン王の息子Lvー】
【**スキル】 【無限転生Lvー】 【地獄難易度Lvー】 【コンティニューLvー】
=====
風魔法!遠距離攻撃!キタアアアア!
骸骨に向けて、風魔法を放つ!
程よく涼しい、弱い風が出た。
......って、コレは【そよ風魔法】じゃねえか!
『そよ風』にする必要あった!?
ねえ!【風魔法】でいいじゃん!
まあ、いい。
今度は風を丸くして、『ウィンドボール』的なものを撃ってやる!
集中し、掌を前に出し、放ったその風は....
不発だった。
そうだ。俺は今MPが0.01しか無え!
いや。
逆に考えるんだ!
【そよ風魔法】1回撃って、MPが空になった。
つまり、【そよ風魔法】の消費MPは0.01という事だ。
前を向くと、剣先が目の前に迫っていた。
逃げろ!
今は唯、生き残る事だけを。
幸い、骸骨戦士の移動速度はそこまで高くない。
全速力で走る。
だが。
ここはゲームの様な世界。
ステータスが絶対の世界。
敏捷0.01の俺が逃げ切れない事は当然の結果だった。
ならば、どうするか。
諦めるのか。
否。
逃げ続けるか。
否。
ならば、お前は、何をする?
戦う。
【そよ風魔法】を拳に、脚に、纏う。
瞬間、集中。
殴り、蹴り、弾き、躱す。
剣を蹴り飛ばし、それを足場に。
だが。
それでも。
此処は『ステータス』が全ての世界。
身体の状態に。極限まで集中した動きに。
ステータスが伴わない。
身体には、既にガタが来ていた。
全力で拳を突き出した右腕は既に折れ、
蹴りを放った左脚は、折れていないが、動かせる状態では無い。
最後まで抗った。
でも、ダメだった。
次の人生こそは、生き残る。
いつかあの骸骨に勝つんだ!
目の前には、巨大な剣が、俺の目の前まで迫っている。
瞬間、世界から色が消え、視界を闇が支配する。
闇は真っ黒ではなく、『紅の何か』が混ざっている。
スローモーションな世界が戻る中で、俺は悟った。
『俺は、死んだ』と。
次の世界は、もう少し優しいといいな。
そう願い、意識を失う直前に。
『【無限転生】の効果で、別世界に転生ーー失敗。【コンティニュー】の効果で、
転生後のステータス・スキルを引き継ぎ、【コンティニュー】します。』
ーーー何か、最悪な言葉が頭に響いた気がした。