幕間〜馬車の中の小さな願い〜
マモンとサタナキアが二人でデートしているころ、ミリア達はというと。
「こっからここまで全部くれ。」
「シャーリー、お前少しは遠慮を覚えたらどうだ……。」
シャーリーが、端から端まで指をさして、大量に注文している。
それをセインズが、呆れた顔で見ている。
食べ始めた時から、この様子である。
ミリアとトアは、もう食べれないとかなり前から言っているし、セインズも限界に近い。
その中シャーリーだけは頼み続けている。
トアはそれを見て、ひいた顔をしている。
シャーリーは、不機嫌そうな顔をしながら食べていく。
周りに何人かいる店員も、顔には出てないが空気で食べれるのかと疑問に思っている雰囲気を出していた。
それも杞憂に終わり、シャーリーの胃袋に収まっていく。
みんな、不思議そうな顔をしながらシャーリーを見ている。
シャーリーはそんな目にも気づかず、食べている。
「あいつら遅い!どこまで行ってるんだ!」
むしゃむしゃと音をたてながら食べている。
「ミリアもこれ食べるか?美味いぞ。」
シャーリーがそんなふうに声をあげながらミリアに言うが、ミリアは首を勢いよく左右に振った。
「結構美味いのに……。」
シャーリーは、不服そうな顔をしながら言う。
ありえない量を食べているということを理解してないような言い方だ。
「あぁ、マジで遅いなぁ……。サタナキア大丈夫かなぁ。」
シャーリーはそう呟いた。
サタナキアは、大きくくしゃみをした。
「風邪ですかね……。」
サタナキア、肩を軽く抱き締めながら言う。
マモンは、それを見ながら目を細める。
「誰かが噂してるのかもね。そろそろボクも仮面を付け直そうかな。」
マモンは、そんなことを言いながら仮面をつけ直した。
サタナキアは、その様子を見ながら、ゆっくりとまばたきをした。
そして、言った。
「マモン様、今日はとても楽しかったです。だから、ずっと後回しにしていたことを聞こうと思います。」
サタナキアは、そこで一呼吸おいた。
「どうしたらみんなで幸せになれるでしょうか。このままではずっと二人のどちらかが犠牲になり続けます。シャーリーだって辛いままです。」
サタナキアは顔をゆがめて、ドレスの裾を握りながらマモンにきく。
「ずっと言いたかったんです。ずっとずっと、貴方様に聞きたかった。二人きり、聞かれる心配がない時に。」
サタナキアは、マモンの顔をしっかり見る。
マモンは、ため息を一つつき言った。
「彼の望だ。それをボクらに阻む理由はない。彼の望と真逆の願いが彼女の望だ。仕方ないことなんだよ。」
マモンは、ゆっくりとした声で言う。
サタナキアは、納得のいかないように言う。
「それでも!違う方法があったはずなんです。彼女は、アn」
サタナキアがそういいかけた時にマモンはそっとサタナキアの口に指を置いて黙らせた。
「サタナキア、その名前はタブーだ。もちろん、彼の名も。そういう契約だからね。」
マモンはそういう。
サタナキアは、それでも辛そうな顔のまま言う。
「マモン様、今日のような日が続いて欲しいと私は思います。でも、そのために彼女の記憶も、年齢も全て奪いさってはいけないです……。」
「でも、彼女があちらにいて幸せになれたのかい?ボクは無理だと思うな。」
サタナキアの悲痛な声の質問にマモンは飄々と言う。
サタナキアはその答えに唇を噛み締めた。
「正直、彼も彼女もどうでもいいんだ。サタナキア。君だけがいればいいんだ。分かるかい?」
サタナキアの、三つ編みを優しく持ち上げながら言う。
「やり直すためだとはいえ、彼女の記憶を奪うなんて……。彼女は私の大切な……友人です……。」
サタナキアは、涙を堪えているようにみえる。
マモンは、顎に手を置き、脚を組んだ。
もう片方の手ではサタナキアの三つ編みを弄びながら言う。
「サタナキア、ボクは君の気持ちが分からない。知っているだろ?ボクには誰かを愛するという気持ちが欠陥している。例外は君だけだ。」
サタナキアは、マモンの方を見た。
そしてゆっくり抱きしめた。
「私は、知っています。苦しんでいることも。貴方様が他人を愛せないならば私は貴方様の分も他人を愛します。ごめんなさい。」
サタナキアの目から涙が一雫流れた。
マモンはそれに気づき、指で拭った。
「ボクは別に他人を愛せないことに対して特に思うこともないんだけどな。君は、誰かを愛することよりもボクだけを愛してて。そしてボクのもののままでいて。」
マモンは、言い終わるとサタナキアの額にキスをした。
「この話はやめようか。君の友人達も待ってるしね。」
マモンは、サタナキアの頭を撫でもう一度額にキスをした。
「泣かないでサタナキア。君の友人達にも泣いた顔なんて見られたくないだろ?それにほら、もうすぐこの壊れた世界は終わるから。」
マモンは、そう言った。
サタナキアは、ハンカチを取り出し、ゆっくり涙を拭いた。
「みんなが幸せになれたらいいんですけどね。」
「それは高望みしすぎなことだよ。」
サタナキアの心の声が漏れた声にマモンは冷たく返した。
「遅い!」
それから、三十分程度経ちマモンとサタナキアは、帰ってきた。
開口一番にシャーリーが言った。
マモンは、首をかしげ、サタナキアは困った顔をしていた。
「まぁ、沢山食べただろう。会計を教えてくれ。」
「金額二百枚と銀貨五十枚になります。」
マモンは指を鳴らし払う。
「じゃあ、また来るよ。みんな帰ろうか。」
「ありがとうございました。」
マモンはそういい、馬車に戻った。
サタナキア達も乗っていく。
そして、馬車が動き出した。
ある程度の所までいくと、サタナキアは、
「美味しかったですか?」
と聞いた。
「とっても美味しかったの!ふわふわのケーキだったの!」
「沢山食べすぎてわかんねぇ。」
ミリアは興奮した様子でシャーリーはおなかを撫でながら言う。
サタナキアは、シャーリーを呆れた様子で見た。
トアとセインズは特にはないようである。
「早く屋敷へ帰ろうか。また、のんびりしようか。」
マモンはそう全員に声をかけた。
昨日少し用事の都合がつかなくなりました
金曜日は毎週予定が詰まっているので金曜日の投稿はなしにします。




