日常
まだまだ未熟ですが頑張ります
次の日
「おい!ミリア起きろ!」
そう、トアがそう大きな声でいった。
ミリアはモゾモゾと布団のなかで動いていると、
「起きろっていってるだろ!」
そう言いながらトアはミリアの布団を引っぺがした。
トアは甘やかすのも良くないと思い強めに言った。
「今何時だと思ってるんだ。今日は壊された柵の修理ともう一度種蒔いて、苗も植えなくちゃいけないことを昨日言ったよな…」
呆れきったようにそういいながら起こすトア。
ミリアが目こすりながら、ゆったりと起きるとトアはすでに、ミリアの服を準備していたのだ。
ミリアは、世話焼きなお兄ちゃんだなと思い、同時にもうそんな歳じゃないと思って兄をじぃーとみつめる。
「ミリア、これ着とくんだぞ。」
そういい服をわたした後に、トアは部屋を出て行った。
ミリアはまだ眠いのを我慢して、服を着替えだした。ミリアは服を着替えた後下りていくと、トアが、朝ごはんを用意していた。
もう兄というか母親ではないだろうか?そう考えていたが、よくよく考えるとミリアは両親のことをよく知らないのだ。
何となく気になりトアに聞いてみることにした。
「お兄ちゃん、お父さんとお母さんってどんな人?」
そう、何気なく聞いただけだった。
今、スープをよそおうとした。
トアの手が止まりミリアの方を見る。
そして笑いかけながら
「俺らには親はいないんだ。」
そう言いきった。
基本面倒見のいい兄だが、人の心配ばかりしているし、ミリアが聞いた事には答えてくれた。
そんな兄がはぐらかしたことにミリアは驚いた。
「なんで?」
やめとけば言いのにそのまま続けて聞いてしまった。
幼い故の好奇心だろう。
「なんでもだ…」
ミリアにはそういう兄が苦しそうにも、苛立ってるようにも見えた。
だから、それ以上は聞かずに食事につくことにした。
トアは料理かまうまく朝ごはんもおいしいはずなのになぜか味がしなかった。
「さっきはごめんな、すこし思い出して。」
そういいトアはパンをもってこちらに来た。
お皿を置いたあと、ミリアの頭を優しく撫でた。
何があったかわからないが、今は、それ以上はきくべきではないと思いトアがつくったスープをたべていると思い出したかのように、
「これが食べ終わったら、柵の直しだからな。」
口をモグモグさせながらトアはそういった。
「うん…」
ミリアは、両親のことが気になってそれどころではなかった。
父親と母親は何者なのだろうか?
なぜ自分は知らないのだろうか?もし、知っていたなら、こんなにもんもんと悩むことはなかったのに。
「ミリア?おい、ミリア!」
いきなり声をかけられてミリアは驚いた顔をした。いつのまにかトアはご飯を食べ終わっていて自分の器もパンがのっていた皿も空になっていた。
「えっ?何お兄ちゃん?」
「いまのはなし聞いてたか?」
聞いてなかったとはいいずらい、スイと目をそらすと、
「はぁー、聞いてなかったんだな?」
コクとミリアが頷くと仕方ないというに頭をふって、もう一度説明をしはじめた。
「最初にやるのは、柵を作ることだ。次に種をうえる。苗はお前が踏みそうだから、種の後だ、わかったな?最後に水まきそれが終わったら飯をくって水まき当番を決める。お前の仕事は倉庫に置いてある木や縄、種をもって来たり、柵を作る時にズレないようにおさえることだ。わかったか?」
確かに力の弱いミリアはそれくらいしかできないだろうとおもい、頷いた。
トアは満足そうな顔をして空になった器をもっていった。
兄が洗い物をしているのをみながら、頭の中は両親のことを考えていた。
そのあと二人は、外にでて、倉庫まで行った。
「ミリアこれだけ持てるか?」
トアは心配そうにある程度の木材をミリアに渡した。
「大丈夫だよ!」
そう言って、ミリアはよいしょと持って行った。
トアはミリアの倍近く持って行った。
着いた後に
「ミリアあと、もう五本くらい木材持ってきてくれるか?」
「わかった」
ミリアらそう言って走っていった。
「よし、やるか。」
腰に手を当てながらトアはそう呟いた。
トアの目の前には沢山の木と縄、今からこれで柵を作るのだ。
どれだけの作業になるかと考えると、気合いを入れないと、やってられない。
トアがチラッと倉庫の方を見るとえっちらおっちら材料をもってくるミリアがみえる。
それがまだまだあるのだ。
さっき気合いを入れたが、やはりめんどくさいという気持ちが勝ってしまう。
「よし、ミリア早く持ってきて…。」
「やぁ久しぶりだね。トア君。」
「わぁああ」
いきなり真後ろから仮面のついて、シルクハットがかぶった胡散臭い男がいたらそりゃ驚くだろ。
これを信用したトアどうかと思うが、トアはその仮面男の頭をバシッと叩き
「脅かすなよ!マモン」
「いや失敬失敬、でも君なら僕の性格を知ってるとおもうんだけどな?」
トアはため息を吐き出した。
マモンという人物は人をからかうのが大好きである。
それ故に周りにいる人たちをイライラさせることが多い。
トアの後ろからドンとくっついてきた物体がいる。
ミリアだ。
「お兄ちゃんこの人だれ?」
「変態」
「ひどいじゃないか!僕は世にも珍しい人間である君達を保護しているんだよ?」
この世界で人間はほとんどいない。
魔術といってもちっぽけなものしか使えず、力も弱い人間が他の生物達に殺され、隷従させられた。
今人間は隠れ過ごしているか、貴族や金持ちなどに奴隷にされているぐらいである。
闇の競売所で、高く取り引きされることも多々ある。二人を見つけ、保護をしているマモンはまぁ善良なほうだろう。
わざわざ、家の周りに結界を張って二人を守っているぐらいである。
しかし、やはり信頼できない。
大変胡散臭い信用性皆無。
言葉遣い、容姿、態度どれをとっても胡散臭はマックスだ。
ミリアが信頼できないのも仕方がない。
現にミリアも怪しいという目でマモンをみている。
「そうそう君達にお願いがあってね」
マモンがそうトアは確実に嫌な目にあうと言わんばかりの目を向けた。
「お願いだぁ?お前のお願いには悪い思い出しかないだが」
そんなことは知らないと言わんばかりの態度のマモンがいった。
「僕のお屋敷の掃除を手伝ってほしいんだ」
「何でだ?お前の家には沢山の使い魔がいるじゃないか。」
「どうしても君達に頼みたくて」
よくわからない理由にトアは首をかしげた。
いつもならやってもいい、マモンに恩を返せると思ったら安いものだ。
しかし、タイミングが悪い。
この時期には種と苗を植えなくてはいけない。
それにこわれたばかりの柵も直さなくてはいけない。
だからトアは
「無理だ。仕事がある。」
「あれれ?トアくん僕のお願い断っていいの?ひどいよ僕は一生懸命君達の世話を見てきたのに…」
と、煽っているのか、悲しんでる振りなのかわからないものを見せられた。
「仕方ない。そんなに冷たいなら、君達の援助を断ち切るしか…。それに」
マモンは、言葉を1度区切りトアに近づいて来て耳打ちをした。
「君たちの家を守ってる結界、あれ少し弱くなってるんだ。だから、人外たちに見つかるかもね。そしたら、君たちは悲しいことに……」
トアは、マモンを睨みつける。トアは、頭をガシガシ掻きむしり舌打ちをした。
「やればいいんだろ、やれば」
その返事を聞いてマモンはミリアの方を見た。
「今度迎えに来るね。あぁ、ミリアちゃんはお菓子食べながらトア君のんびりしてていいからね」
「甘やかすな」
暇な時間が潰れるのをトアは感じていた。