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39.ステータス

短めです。

「ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

「……ごめんな」

「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

「ほんと悪かった……びっくりしたよな。俺は記憶にないが、心配させたよな、すみません」

「ひああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

「ほらほらケイン、喉潰れるぞ。悪かった。ほんとごめんな」


 大絶叫の小さな弟の前で、弟より小さくなって正座をし、ただひたすら懇々と謝るルガート。

 目の前で泣かれるケインは、訃報一歩手前かもとブルースター公爵が先立って送った手紙を父から聞かされ、覚悟しておくようにと言われていたらしい。

 家族が言うにはその時は至極平静だったという。

 しかし、その頭脳はおそらく家の誰よりも高く賢いこの子が分からないはずがないのだ。

 緊張の糸が切れて泣き叫ぶ弟は公爵領から帰って来て馬から降りたルガートの姿を見た瞬間、今までの静けさが嘘のように爆発した。


「なにあの兄弟超可愛い。俺の弟達だった」

「話に聞いていたが案外ピンピンしているな。ジミトリアスが見てくれるし、しばらく放置でいいだろう。行こうかテレジア」

「はい、旦那様」


 よくよくカオスだった。


 まだ名残で涙がこぼれるが、泣き疲れて寝てしまったケインを抱っこし、ようやく家の人ら全員にも謝って回ったルガートは多少ながらげっそり震えていた。

 可愛い光景だったとジミトリアスの肌艶は謎にいい。


「しかし私達も流石に驚いた。まさか魔力枯渇をしていなかったとはな」

「公爵にも驚かれた。俺も認識違いだったからかなり驚いてる」

「こればかりは情報伝達不足だったな。今度王都に行ったらその手の資料を買い集めておこう」

「助かる兄貴」


 無事に実家に到着して早々の騒動だったが、ことの中心だったケインがお昼寝タイムに突入したお陰でなんとか屋敷は平穏な空気に戻った。

 皆で心配そうにしてくれているが病人でもないからと談話室へと向かい、倒れるに至ったあらましを伝える。


「で、親父達も利用してるホットアイマスクを応用した魔法を氷室に施したら、ぶっ倒れた」

「魔獣との連戦の上に荷運び、全体付与強化魔法、更に攻撃魔法を行使、それから複数過剰の固定魔法、なるほど確かに、限度以上の魔力量のようですな」


 そこにはガレッソも呼んで話を聞いてもらい、苦笑する男から残念な人を見る目をされた。


「しかし以前見た数値より格段に跳ね上がりましたな」

「……ん?」

「ガレッソは相手のステータスを読むことができる」

「何それ怖」

「カカッ。坊っちゃん、あとで手合わせいたしましょうか」


 ズオッと一瞬だけど威圧され、怯みはするが手加減されていたので耐えられないほどではない。

 それでも肝が冷えた。


「話を戻しますと、坊ちゃんのレベルにさほど差はありません。先週見た時は三一でしたが、今のレベルは三三になっております」

「よっしゃ」

「驚くのはその魔力量ですな。以前は三〇三でしたが、今現在、九六四となっております」


 これには、さすがの俺も行動が停止した。


「え、何それ怖」


 思わず呟いたのは親父だった。


「ちなみに私は六八一三です」

「「「怖」」」

「曲がりなりにも英雄でしたものですから」


 朗らかに笑う英雄強い。

 しかしその異常な数値に聞かなければいけないだろう。


「ガレッソ、魔力量って際限ないのか?」

「ございませんよ? なぜ上限があると? 極めれば極めるだけの結果がついてくる。これほど分かりやすい数値はありません。ですが、こればかりは個人差なので、打ち止めとなる者も多くいます。落差の激しいのはそういった観点がありましょうな」


 加えてガレッソは魔王を倒した英雄だ、高い数値は順当なものなので納得する。

 魔力枯渇をさせるには時期があると公爵が言っていた。

 それは子供の成長に合わせて無理やり行うものではあるが、その過程をすっ飛ばしたルガートは既にその枠組みから外れているだろう。

 正式な時期が分からなければ、またいつ枯渇を起こしてもおかしくない。

 そうなれば、覚えていない熱や激痛と再びご対面する機会ばかりか、死ぬ可能性だって捨て切れないのだ。

 それだけは避けたい。

 一瞬過ぎった少女の泣き顔を振り払い、ジミトリアスに視線を向けた。


「兄貴、今度って約束だったが、自分で買いに行っていいか?」

「ああ。こればかりは早めに手に入れた方が得策かも知れないな。近い内、王都の別邸にも連絡をしよう」

「お袋、ケイン連れてっていいか?」

「あら、そうですね。ちょっとばかり心配が過ぎたものね、ケインのわがままに付き合ってあげてね」


 ほんわり笑う母は残るつもりのようだ。

 ならば、ケインの乳母のハンナを連れて行こうと強く頷く。


「もちろんそのつもりだ」

「俺も行こう。案内がある方がいいだろう」

「本音」

「三人であちこち回りたい」

「仕事が無ければ私だって行きたいんだぞ!」


 家長が駄々をこねるとか。


「うふふ」

「ルガート、こればかりは命に関わる。自分のお小遣いではなくボスティス家に請求させなさい。上限は気にしなくて構わん」

「わーやったー買いあさろー」


 これには素直に喜んだ。

 お昼寝から起きてきたケインにも王都へ行く話をしたらとてつもなく喜ばれる。

 先ほどのギャン泣きなどすっかり忘れているその笑顔にくるくると足元で回る小さい弟を捕まえ抱き上げる。


「にいさまたちと、おでかけ!」

「そうだな」

「たのしみです!」

「はしゃぎすぎると熱出して連れて行けなくなるから気を付けろよ?」

「いけないのはいやです!!」

「だろ? 程々に楽しみにしとけ」

「ルガート、無理があるだろう」


 とはいえ、ルガート自身も初めての王都。

 魔法に逃避し、領地に引き篭もっていたツケが今来ているが、それはこれからの奮闘次第で挽回は可能だ。

 多少ながら楽観視している部分は過分にあるも、自身が招いた結果の皺寄せなので当然のこと。

 出発はひと月後を予定し、それまでに細々と予定を調整しておこうとジミトリアスも頷きながら、はしゃぐケインの背中を撫でた。

なんだかんだと魔物を倒しに行っていたので、ルガートのお小遣いはそこそこあります。

売却先、父、ブルースター公爵、ザバルト伯爵。

いつも先にこちらに売れと喧嘩する手紙のやり取りがルガート経由で勃発してたりしてなかったり。

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