勇者とダンジョンボス
目が覚めたラウールは決めた。
魔法で削る役をしようと。そしてサクラに求めた。回復役を。
サクラと勇者3人にその事を話してみた。
「できるだけ俺たちにも経験を積ませてくれよ!グンジョウはどうだ?」
「僕も同じ。少しは手加減してね。」
「私も。ただ、魔法が被らないようにお願いねラウール。」
それを聞いたサクラも
「私もいいよ。傷ついたら治すから、任せておいて! 危なければ、私も大鎌で参戦するよ!」
「「「そこまでは遠慮させて!」」」
話し合いを終えた5人は、ボス部屋の前まで進んだ。
「この先は、通常はラージスライムで、変異種が出たと言う情報もないよ。だから、一気に削っていこう! 攻撃あるのみ。ただ、酸の攻撃は、範囲、距離ともに普通のスライムより長いから気をつけて!」
「「「「はい!」」」」
ギギギギと門を開け5人はボス部屋へ入った。
一気にラウールが魔法の風の刃を飛ばし、ラージスライムの体を削っていった。
それでもまだ高さ、幅共に2mは残っている。
「これくらいで一旦任せるよ!」
ラウールは後ろに下がった。
そこへ詠唱を終えたヒミカが「ファイヤーランス連射!!」と3連続で火の槍をラージスライムに当てた。
その火の槍の後ろからは、グンジョウが素早く移動し、ラージスライムに切りつけた。今回は毒がないため、何度の切りつけることに成功している。
そして酸を広範囲に撒き散らそうとしたラージスライムだったが、後ろに回っていたダイチが切りつけた。スライムの後ろで軽くジャンプし、上段から大剣を叩きつけた。
ラージスライムはその勢いで酸を床にばらまいてしまう。
そこへグンジョウが再度切りかかり、後方からはヒミカの詠唱が聞こえてくる。
「下がって二人とも! ファイヤーウォール!!」
そう唱えると、炎の壁が出現し、ラージスライムめがけて進んでいく。
ラージスライムは炎の壁にぶつかり、抵抗したが、体が蒸発し、魔石だけが残された。
「「「やった~!」」」
と勇者3人は跳び跳ねて喜んでいる。
「初めてのダンジョンボス、倒したぜ!」
「やりました・・・、これこそ異世界!」
「私が止めを刺したよ!ダイチもグンジョウもありがとう!魔法の使い方もうまくなってきた!」
「だけどラウールが始めにダメージを与えてくれなかったら、どうなっていたかはわからないな。」
そういってダイチはラウールを見た。
「ん~、たぶん大丈夫だったよ。それでも怪我くらいはしたかもね! サクラが直ぐに治したろうけど。」
「うん!直ぐに治したよ。それでも痛かったと思うよ!」
痛いのは嫌だった勇者3人は改めてお礼を言った。
そして目の前に出現した宝箱に目を向けた。
ラウールは魔力を込めて宝箱を探ってみた。
「罠は無いようだから、誰か開けてみて。ちなみに、魔力を込めて宝箱を探ってみると、罠があるかわかるよ。あとで練習してみたら?」
「私が開けたい!」
とヒミカが立候補した。
ダイチとグンジョウも反対せず、ヒミカが宝箱を開けることになった。
「何が出るかな~、エイ!」
カパッ!
中から出てきたも物を見てみると、杖が出てきた。
【炎の杖:火の魔法の威力を増強させる】
ラウールにはわかった。しかしそれを教えると、自分のスキルがばれてしまうので言わない。
杖の先に赤い宝石がはめ込まれている。勇者のお披露目会でみた宝石よりも大きい。
「たぶん色からして、火の魔法の威力が上がったりするんでないかな。ヒミカがお披露目会で持っていた杖はどうだった?」
「あれは今言われたままで、火の魔法の威力が上がるものよ。今回のダンジョンには持ってくるには高価な物だったの。」
「じゃあこれからはこれを自分の物にして使ったら?誰も杖を使う人がいないと思うし。」
そうラウールが言うと反対する者はいなかった。
宝を手に入れ、転移陣で帰還するときは、勇者のテンションが最高潮に達した。
そして、転移の魔法を覚えた・・・、
訳はなく、感激していた。
~~~~~~
無事にダンジョンを攻略し、街までの移動では弱い魔物だけ出てきたため、特に苦戦することもなく過ぎた。
ニジュールに到着し、勇者とは別れた。
また魔法を教えてほしいと言われ、一緒に依頼を受けたいと言われ、今回のダンジョンで仲良くなった。
勇者と別れたラウールとサクラは宿屋わかばに移動した。
宿屋が満室になることもなく、同じ部屋をとることができた。
2人は今食堂にいる。
今後の予定を立てるために。
「これからどうするラウール?もう少しいる?」
ちょっと考えたラウールだが、
「もう少しで僕の誕生日だから、誕生日まではここにいていいかな?移動中に誕生日になってもいいんだけど、なんとなく街で迎えたい。」
「そうね。ラウールはもうすぐ誕生日だものね。そうしよう!」
「じゃあ、この街には長くいるけど、もう少し楽しもう!」
この世界も地球と同じく、時間、一週間、一月、一年であった。その呼び方は違うが、数えかたは一緒で慣れた感覚でよかった。ラウールは初めて時間の単位を覚えた時の事を思いだし、両親に会いたいと思ってしまった瞬間だった。




