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断罪者 ~絶望を知った少女が救済する物語~  作者: 冬野 冷
第一章 出会いと復讐
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10 復讐を成すとき(2)

 現在は昼。私たちは城へと向かっていた。万が一にも獲物に逃げられないように、大通りを駆け抜ける。私は、《遮音》と《光学迷彩》、《消臭》、《影渡》など、隠密性に優れたスキルを同時展開してほかのメンバーが付いてこれるスピードを保って走っていた。アステリオの作戦では、表の門で誰かが騒ぎを起こし、その隙に内部に既に侵入している仲間たちが外で待機している仲間たちを内部にこっそり招き入れるということになっている。私? 表門で騒ぎを起こす、もとい表門から力技で城に乗り来む役回りになりましたが何か? もちろん、私が自ら立候補した。そして、そんな私に巻き込まれた不憫な仲間が私の後ろについて走っていた。


 革命軍にはいくつかの部隊がある。第五部隊は主に情報収集などを担当している。いわゆる忍者や暗殺者みたいな感じだ。どちらかというと暗殺はしていないみたいなので忍者に近い印象だ。今回の作戦では、内部に侵入して仲間を引き入れる役割を当てられている。第四部隊は遊撃や薬づくり、道具の準備等々。様々なことを引き受ける何でも屋。第三隊は魔法使いの集団だ。ひたすら魔法を極めた、魔法のエキスパート。第二部隊は剣士の集団。主に剣や槍などの武器を使って戦う。魔法が苦手であったり、魔法が使えない人たち集まっている。そして、第一部隊・・・・・・革命家であるブレイブやアステリオが所属している部隊だ。魔法も武術も果てには暗殺者の真似事まで・・・・・・とにかく優秀な人たちの集まりである。それぞれがエキスパート、オールラウンダーたちの集まりだ。

 今回は、できるだけ連携を取りやすく、かつ動きやすいようにするために少人数で城に向かうらしい。第四、第三、第二、第一部隊はアステリオが考えたグループの割りにしたがってグループを作り、路地裏を進むように指示されている。私は現在、第一部隊の人たちと組んでいる。メンバーは私、ブレイブ、他4名の計6名だ。

「いやはや、まさかオレが姫さんと同じチームになるとは・・・・・・」

 そう言って私をちらりと見たのはバルトだ。暗めの茶髪に同色の瞳、褐色の肌のワイルド系イケメンだ。

「なかなか面倒なことが起こりそう・・・・・・あーやだやだ」

 ジトッとした目つきでラースが呟く。ラースはくすんだ赤の髪に茶色の瞳の、なんかチャラいイケメン。

「眠い・・・・・・」

 ふわっッとあくびをしたのはムウ。キャラメル色の髪に同色の瞳の、くたびれた感じのイケメンだ。

「ボクはどんなことが起こるのか楽しみだなー!!」

 楽しそうにそう言うのはクリュー。ピンク色の髪に濃い緑の瞳のあざとかわいいイケメンだ。

 彼らは、私が軍でいろいろやらかしている時に知り合った、なんというか・・・・・・従兄妹?みたいな感じの、気の合う友人です。訓練も一緒にしたよ! 私と一緒に訓練していたからか知らないけど・・・・・・初めの時よりすっごく強くなったんだよね。そして彼らは軍の中でも抜きんでたイケメンっぷりである。そう、ブレイブとアステリオと同じくらいイケメンだ。他の人がイケメンじゃないっていう意味ではないんだよ? ただ、頭一つ抜きんでているっていうかなんというか・・・・・・。

彼らは他の人よりも強いから、私とは違うチームになると思っていたんだけどな~。ちなみに今回のメンバー分けはアステリオがした。

「ねえ、ブレイブ。アステリオは何を考えてこのメンバーにしたの?」

私は皆を見ながらそう言った。うむ、ブレイブもイケメンだね。

「え? えぇっと、確か『ユージェスが何をしても、対処が可能な人を振り分けました』って言ってたぞ。あとは、『ユージェスがいるのでそこまで多い人数じゃなくてもいいですよね? そこにブレイブが加わるので・・・・・・もっと人数は少なくてもいい。いやー、ユージェスとブレイブに感謝ですね。あなたたちのチームの人数を減らした分、他のチームに人を回せます』・・・・・・だったかな?」

 ・・・・・・おい。まあ、アステリオがわざとこのメンバーを選んだわけではな

「『逆ハー?でしたっけ・・・・・・楽しんでください』って伝えてほしい言ってた」

 ア ス テ リ オ ! ! 

 てめぇ、わざとか・・・・・・わざとこのメンバーにしたのかよ!! 目の保養をありがとう!グッジョブ!!よくやった!! って違う! ・・・・・・まあ、優秀であることは間違いないし、このメンバーは全員気心知れてるし、このメンバーでよかったちゃーよかったけど・・・・・・。

「ぎゃくはー?」

「何それ?」

「・・・・・・」

「ねえ姫様、〝ぎゃくはー”って何?」

 ブレイブの言葉に反応して、皆が振り返って私を見る。え、これ、私が説明しなくちゃいけないパターン? ええー、まあ、いいけどさ。

「逆ハー・・・・・・ハーレムっていうのがあって、そっちは1人の男性がたくさんの女性を侍らすことね。その反対が逆ハーレムっていうんだけど、一人の女性がたくさんの男性を侍らすことだよ・・・・・・」

「え゛」

「へえ」

「ほぉ」

「・・・・・・」

「ふ~ん」

 ブレイブが驚いたような顔で私を見る。他四人は顔を見合わせて・・・・・・私を囲むような陣形を取った。ちなみにブレイブは最初から私の隣にいる。

「・・・・・・何してんの?」

「ん? 逆ハーってやつをしてみようかと?」

「なるほど」

 クリューの言葉に私は納得した。この陣形は、私が彼らを侍らしているように見せるものか・・・・・・ふむ。

「や~ん、どうしよう? わたしぃ、人と戦ったことがなくて・・・・・・すっごく怖いのぉ!!」

「大丈夫だよ。姫ちゃんは強いし・・・・・・僕が守ってあ・げ・る!」

「そーだぜ、姫さん。姫さんには指一本触れさせねぇ」

「姫は、僕が守る・・・・・・」

「姫様に怪我なんて、させないよ!!」

「え? え?」

 ちょっとしたおふざけで、ぶりっ子風に可愛~く言うと、みんなが乗ってきた。ブレイブは戸惑っている。くすくすとみんなが笑う。あ~これこれ! 私たちはこうでなくちゃ、シリアスな雰囲気なんて似合わないよね?

「あ~面白い! ブレイブ、いつもの悪ふざけだよ!!」

「あ、そうか・・・・・・びっくりした」

「まあ、ふざけるのはここまでにしようか・・・・・・目的地にもついたしね」

 私たちの眼には、敵の城・・・・・・レブリアス城が映っていた。







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