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幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
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憤怒的鬼

 世界樹が人食い鳳凰を宮中に放り込んだのも、どこかわかる気もした。

 そして、暁星における翼虎である。さて、翼虎とはいつどのようなかたちで出会えるのだろうか?

 しばらくして、瞬志が戻ってきて、それに案内されてやって来た者があった。麗はそれを見て、目を見開いて、

「お父さま、お母さま!」

 麗は椅子から立ち上がり、瞬志の後ろに控える初老の男女向かい駆けて、そのかいなに飛び込んだ。

 この男女こそ、麗の両親にして朱家の主、朱伝道チュ・ジョンド尹成花ユン・ソンファであった。

「お前、生きて……!」

 突如行方不明になった娘が、無事に生きて、再会できた喜びに両親は打ち震えた。失踪した娘をかばいながら、謀反の疑いをかわし、臣下としての務めを果たすのは、身も心も八つ裂きにされる拷問に遭うような辛さであったが。

 雄王や他の臣下たちの助力を得て、どうにか今まで生きた。そしてついに、念願の再会を果たしたのだ。

「瞬志殿に内密の用があると呼ばれて来てみれば。よくぞ生きて」

 母の成花も大粒の涙を流し、娘との再会を喜ぶ。

「お父さま、お母さま、ほんとうにごめんなさい」

 両親と再会をすることで、麗の心に、自分はなんという親不孝をしたのだろうという後悔と謝罪の心が改めて芽生えた。

 伝道は貴志たちにも目を向けた。

 貴志は気まずそうに会釈し、劉開華に香澄たちも続いて会釈をする。が、源龍は面倒くさそうにそっぽを向いた。

(この者たちは何者だ)

「話せば長くなりますが。驚きになりませぬよう……」

 瞬志が円卓の椅子に座るよううながし、朱家親子は腰掛け円卓の列に加わった。

 貴志は瞬志に話をするよううながされ、やれやれと言いたげに話をした。隠さず正直にだ。

「……」

「……」

 朱家の夫妻は呆気に取られて。何を言っているんだと、戸惑い無言で貴志を見据える。なによりも、辰の公主までいるという。

「人食い鳳凰だの、公主だの、船が辰の宮殿から飛び立ち、天頭山の天湖に着水し、そこで娘に会って……。正気を疑う話だ」

 伝道はやっとのことで口を開いたが。馬鹿にされているのかという怒りも交じり、声も震え気味であった。夫人の成花もわなわなと震えながら怒りを抑え、無言。

「でもお父さま、天頭山教のことは、ほんとうよ。教主にそそのかされて、私は天湖に喜んで身を捧げようとしたわ。もし貴志オッパがいなければ、どうなっていたか」

「むむ……」

 麗も貴志をかばうようなことを言うばかりか、恩も感じているようである。伝道と成花は娘を見て、徐々にだが態度をあらためる。

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