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幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
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我画願望

 聖智はふたりと一緒になって鳳凰の背に乗って、やっと安堵の気持ちを得て、気を取り直した。

「すまない……」

「なあに、いいってことよ」

「困ったときはお互い様ですよ」

 詫びる聖智に龍玉と虎碧は笑顔で返した。

 泡から伸びた手は光弾のために、泡のように弾け消えた。あれは何だったのか。おおよその予想は着くものの。

 などと考えるいとまもない。咄嗟に聖智を助けた穆蘭だったが、それは金羽龍に隙を見せたことにもなって。鵰の背に我が身を預けて、逃げろ逃げろとハッパを懸けて、追う金羽龍から必死に逃げていた。

 悪い鳳凰の天下は、嘴から吹き出した泡の攻めがしくじったと知り。やむなくそうに羽ばたき距離を開けたが。逃げることはしなかった。

「どうしてくれよう、どうしてくれよう」

 などと、恨み言を叫びながら上空を旋回していた。

 筆の天下から出でた鳳凰の背の三人も、ひと息ついて、顔を見合わせて頷き合って。改めて、得物をしっかと握りしめて、跳躍し羽を伝って金羽龍に迫った。

 筆の天下から出でた鳳凰は、悪い鳳凰の天下に迫り。

 上空で二羽の鳳凰は翼をはためかせてもつれ合い、豪奢な尾羽もおおいに振るわれて。無数の金の羽が舞った。

 鵰を追う金羽龍だったが、背後に気配を感じて振り返れば。龍玉と虎碧、聖智が迫ってくる。

(羽だろ、生き物ってわけじゃないんだろ?)

(あの鳳凰から出たものだから)

 龍玉は不思議に感じ、虎碧は多少は察して。聖智は無我夢中で。振り返った金羽龍の大きく開かれた、牙の覗く大口目掛けて突っ込んだ。

「!!」

 振り返った金羽龍の後頭部で爆発があった。あの天光北斗弾だ。鵰を翻らせて、光弾を放って、その後頭部に見事当ててみせたのだった。

 金羽龍は揺らぎ、次の瞬間に全身を痙攣させるかのごとく上空で理も非もなく暴れ出す。

 鼻先の髭や、牙、爪、その尾がくうを切り。蚯蚓のようにのたうつ。

 三人は離れずひと塊になって、爆風になでられながら迫った。

(気持ちの悪い奴だ!)

 聖智は心の中で毒づきながら、暴れる尾をかわしながら、他のふたりとともに腹に辿り着き。それぞれの得物をぶつけ。素早く離れた。手ごたえはあった。腹をはじめとして、金の羽が多くはがれて、宙を漂う。

 金の羽は次から次へとはがれて、とどまるところを知らず、といった具合であった。このままバラバラになって消えてしまえばと期待されたが。

「そんな」

 聖智と穆蘭は絶句する。あらぬものを目にして。龍玉と虎碧は、

「鋼鉄の火龍!」

 と、思わず叫んでしまった。

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