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幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
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我想展示

「ええい、いくよ!」

「それッ!」

 龍玉と虎碧は鳳凰の背中から跳躍し、宙を漂う羽に足を掛け。羽から羽へと跳躍し、まるで宙を舞っているかのようであった。

 そういうことが出来るのかと、聖智もやや遅れながらも跳躍し。羽から羽へと跳躍し。

 三人、得物を構えて金羽の龍に向かった。大口を開け、金羽の牙がむき出しにされ。咆哮まで轟かせる。

「なんのぉ!」

 彷徨にめげず。まず龍玉が我先に突っ込んだ。耳や九つの尾は隠していない。はるか上空にあって地上から姿ははっきりと見えないと踏んだからだ。

 ともあれ、青龍剣を突き出し、大きく開けられた口の中に飛び込む。その後ろに聖智と虎碧も続く。

 さらに、三人の後ろに鳳凰が続いた。

 先頭の龍玉の目の前に金羽龍の大口が迫る。しかし、真正直に飛び込むことはしなかった。羽から羽へと跳躍し、大口の目前で上へ上へと跳躍し。突き出た鼻を目前にして。

 得物の青龍剣を叩きつけた。

 ぼうッ! という火の手が上がる。青龍剣から青い火が迸ったのだ。

「ほら、お味のほどはどう!?」

 龍玉は無邪気に叫んだ。少しでも効いたのか、金羽龍はややひるんで顔を引っ込める仕草をした。そこに、「やあッ!」と虎碧の赤虎剣の第二撃が叩きつけられ。今度は赤い氷が弾けた。

「え、氷も出るんだ!」

 前に炎が出たが、今度は氷。虎碧はこれに驚き。驚きつつ、次の聖智に場所を譲って。その得物の軟鞭が叩きつけられた。

 さすがに聖智の軟鞭は普通の軟鞭なので、打撃を与える以外の効果は見せなかったが。

 金羽龍は立て続けに三度も鼻先に打撃を受けたので、顔を背けて間合いを開けようとする。そこに鳳凰が迫った。

 三人は咄嗟に羽から羽へと跳躍し、鳳凰に場所を譲った。

 どおん! という激しい衝撃音がした。鳳凰が金羽龍に体当たりを食らわせたのだった。

 金羽龍は突き飛ばされて、体勢を崩して。集まった金の羽もばらばらになりそうだった。

「やったか!」

 龍玉らは期待の眼差しで崩れそうな金羽龍を見据えた。瞬時に鳳凰がそばに寄り添い。三人すぐにその背に飛び乗った。羽から羽への跳躍は消耗がやはり大きいからいつまでも出来るわけではない。鳳凰の背で休めるのは助かる。

 その一方で穆蘭は鵰の背に身を預けつつ、悪い鳳凰の天下の周囲を巡り旋回する。天光北斗弾を放とうと思ったが、相手もさるもの。いつでも避けられるよう身構え、何を思ったのか逃げようとする。

「もう、この意気地なし!」

 穆蘭は鳳凰に向かい叫んだ。駄目人間を餌にするような体たらくである。不味そうな者を真正直に相手にすることはないということか。


我想展示 終わり

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