我想展示
「この世界は……」
香澄はつぶやく。
「亡者の世界」
亡者の念が作り出した異変の世界。だから、こんな生命のない岩盤の世界で。岩盤の世界ながら、爽やかな草原の世界に見せようとした。
しかし香澄の目はごまかせなかった。
それで、岩盤の世界の住人とした亡者たちは、ひとつの膨らんだ雲となり。姿を変じてゆくが、その姿は鳥の姿となってゆく。
リオンとコヒョも香澄と同じ考えで、そのことを源龍と羅彩女に言えば。
「救いがないねえ」
羅彩女は漏らし。源龍は絶句。
やがて雲はその姿が、鳳凰になった。豪奢な尾羽をひらめかせて、曇天の空を旋回し。猛禽類のような鋭い鳴き声を響かせる。
「糞鳥になりやがったのか」
「自分を食ったものになるなんて」
いよいよ救いがない。
「だから……」
「天下に食われちゃったんだねえ」
リオンにコヒョもつぶやいてから、絶句。
七星剣の柄を握りしめて、香澄は光の中の四人を見つめる。「うん」とコヒョは頷いて、念を込めれば。
香澄は跳躍する。
剣身の紫の七つの珠はきらりと光る。
「天光北斗弾!」
剣を掲げて一喝すれば、七つの珠から七つの光りが迸り。弾となって雲に放たれた。
雲の鳳凰も避けようとするが、避けきれず。七つの光弾はもろに当たって。弾けて。鋭い悲鳴の鳴き声が響く。
やったか!
そんな技が使えたなんてと、コヒョもリオンも驚きつつ。期待を込めて、様子を見るが。コヒョは油断せず念を香澄に送り続ける。
雲の鳳凰は翼をばたつかせてもがく様を見せるが。落ちる様子はない。かえって風に乗ってさらに高く舞い上がった。
コヒョは念を送り、香澄は燕のように空を切って鳳凰を追った。
柄を握りしめ、剣を突き出す格好になり。七つの珠は光る。天光北斗弾を再び放とうとするが。その直前に鳳凰は急旋回して、鋭い目と嘴を香澄に向け。そのまま飲み込まんがばかりに迫ってくる。
「!!」
天光北斗弾を放ついとまもなく、嘴はあっという間に目前に迫って。咄嗟に避けて、さらに高くへと舞い上がる。
鳳凰の背中が見え、さらに豪奢な尾羽が閃くのが見え、その先端は目前にあり……。
「ああッ!」
尾羽の先端はしたたかに香澄を打ち。思わず七星剣を手放してしまい、もろともに落下する。
コヒョは念を断じていないが、香澄の気力が絶たれれば落ちてしまう。
「くそッ!」
源龍は渾身の力を込めて網を破ろうとするが、できない。香澄は落ちる。打つ手なしか。と、思われたが。
すんでのところで目を開き、七星剣を咄嗟に掴んで。態勢を整えて再浮上する。




