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幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
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遇到公主

 雲の中はそのまま霧の中。源龍、貴志に羅彩女は緊張をおぼえる。この雲が霧で世界樹のところか、はたまたどこかの異世界に行かされるのかと。

「行き先は暁星でござる」

 公孫真が言い。貴志は目を丸くして驚く。

「到着まで時間はある。その間、話をさせてくだされ」

 一同円座になり、公孫真は語る。

 皇帝康宗こと劉敏と靖皇后こと靖蘭のまつりごとは鄭拓が宰相として支援しているのだが。鄭拓は皇帝と皇后をそそのかして私腹を肥やし。己に都合のよい法もつくらせて、民衆を搾取してもいる。

「我らはそれを憂い、鄭拓を成敗せんと誓った」

「私も、公主として責任を感じて」

 鄭拓一味は言葉巧みに皇族や他の貴族を味方に引き入れ、天下は実質鄭拓のものになっていたという。

 青藍公主こと劉開華は皇后の生んだ二人目の子。一人目の兄で皇太子である劉賢もまんまと鄭拓にそそのかされてしまったうえに。

「口にするのもおぞましいですが、皇太子は血のつながるおひいさまに邪恋を抱き……」

 劉開華もさすがにここは黙り込んだ。最近十七少年団に入れ込んでいるのも気に入らぬようで、暁星の使節団を冷遇し。わざと安酒を送りつけ、それを飲まねば不敬であると無理矢理飲ませて、悪酔いをさせたという。

「そんなことが」

 貴志は驚きを隠せない。使節団の団員から辰の王侯貴族の腐敗を聞かされたことはあったが、話が不要に広がるのを恐れて詳しくは聞かされなかったが。

「くれぐれも用心したまえ」

 と、留学生らを気遣うまなざしで語ったことはよく覚えている。ただ、

「まあ、我が国も同じように腐敗があるのだが」 

 と寂しそうに付け加えてもいた。

 味方は少なく、敵は多く。公孫真も劉賢からあらぬ嫉妬を受け、難儀していた。

「むごいものです。血のつながった家族が一番の敵として牙を剥くなど。そうしむけた鄭拓の所業、いよいよ許せぬと思えども、なすすべなく。我らが世界樹に導かれたのは、そんな時だったのです」

 世界樹のもとまで導かれて、転生者を助けよと命じられ、リオンもつけられた。

 で、リオンは、

 船を浮かして国外脱出を図っていることを伝え。それを決行するために身動きしやすい官服に着替えさせたという。

「あ、そうそう。リオンって名前はね。獅子って意味なんだ。はるか西方も西方の世界の名前だよ」

 源龍たちがリオンという名を不思議そうに思っているのを察して話をしたが、それが遥か西方の世界の名前であると言われても、にわかに想像もつかなかった。

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