表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
469/539

慶群帰還

 いずれにせよ、貴志はこの面々の中で軍師扱いで頼りにされていた。

「マリーさんと、虎碧ちゃんは、ここに残ってもいいかもしれません。兄さんには、僕から話しておきますから」

 と、言った。さらに、

「源龍。思ったことがあったら、率直に言ってほしい。僕らの間に遠慮は無用だよ」

 とも言った。源龍はやや惑う顔を見せる。

「なんだよ。人が気を遣ってるのに」

「王様の前ならそれでいいけれど。一緒に戦う仲間同士でそれやると、かえって誤解をさせてしまうこともあるよ」

「ふーん。ややっこしいな」

「まあね」

 その反応は無理もないと、貴志は苦笑する。それならそれでと、

「疲れてるなら、無理しねーで休んでもいいんじゃねーか」

 と、改めて言った。

 ほう、と感心した表情を見せたのは龍玉。

「貴志さんも、一緒に残ってあげなよ」

 などと言う。どうしてと、今度は貴志が惑う顔を見せた。

(もう、狐の気遣いには気付かないんだねえ)

「それがいいかもしんないねえ」

「おや、珍しく意見が一致したわね」

 龍玉はややにやけた顔を羅彩女に見せた。

「別にあんたに合わせたわけじゃないよ。ここにいるなら、貴志の坊ちゃんがいた方が何かと便利だろ、って思っただけだよ」

「まあ、あたしもそうだよ」

「オレも、それがいいと思うぜ」

 源龍も加わる。言われる貴志はいよいよ戸惑う。

(高貴の家に生まれるってのも、大変だな)

 言ってる方は気付いていないようだが、貴志は責任を負わされているのだ。もちろん、負う気はあるのだが。彼らはその責任が、権力や家柄で何とか出来ると、無意識に思っているのかもしれない。

(これは危ない考えだ!)

 一瞬、迷ったが。貴志は思い切って、

「待ってください!」

 と、話に加わった。

「僕は確かに王族で、五男坊でも宰相の子ですが。この切迫した時代は、責任は、権力や家柄で何とかなるわけでもありません。そこは勘違いしないでほしいと思います」

「……あー。言われてみりゃ、そうだねえ」

 龍玉や羅彩女は苦笑し、自分の無意識的な無責任な貴志への期待を恥じた。しかし源龍は違った。

「それでも、利用出来るもんは、利用した方がいいだろう」

 などと言う。貴志は思わず、ずっこけた。

(僕も、相手に変な期待をしすぎたか)

 しかし源龍らしいと言えば源龍らしい。

 この様子を、香澄とリオン、コヒョは黙って見守っている。マリーと虎碧の母子も、何をどう話せばよいのか、惑って無言のまま。

 これも、異界に行かされるかもしれない、という思いからだった。己の力や、ましてや責任ではどうにもならない、問答無用で異界に行かされ、戦いを強いられるということ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ