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幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
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慶群帰還

 どのようにして巡り合ったのか知らぬが、とても仲も良さそうで。

「なんか、いいな」

 と、ぽそりとつぶやかされたりもした。

 瞬志の亀甲船が忽然と消え、国王らが宇宙に放り出されて、さらに海での鋼鉄の激突など、そんなことがあったなど、一体誰が想像し得ようか。語ったところで狂人扱いされるのがおちだ。

 瞬志といえば、港に留まり、そこの役場の建物の一室で直近の部下を集めて。

「心配をかけてすまなかった」

 と詫びた上で、自分が体験したことを、素直に話した。話してもらう部下らは、

(本当か?)

(あの瞬志殿が、まかさ気が触れたか?)

 などなど、さすがに正気を疑わざるを得なかった。その様子は瞬志も察した。自分で話していても、なんだか馬鹿馬鹿しくなるのが正直なところだ。

「まさかと思う話だと思うのも無理はない。オレも正直、戸惑っている。が、嘘を言っても仕方がないから、こうして話している」

 言いながら、頭が一瞬ふらつき、舟をこぐ仕草になった。やはり瞬志も疲れているのだ。

 亀甲船が忽然と消えたこと自体が信じがたい出来事だった。それが帰ってきて、ほっとして、話を聞いてみればこれまた信じがたい話。部下らも対処に困った。

(これは、乱あるを防げぬか)

 部下らの反応を見て、瞬志は一瞬そう思ってしまった。伏魔殿と言われることもある王宮の事情も見聞きし、公人としてその苦労も散々味わってきた。悲しいが、亀甲船が消えたという時点で乱起こるは必定と言ってもよかろう。

(一途なお方で信頼し、尊敬をしていた瞬志殿が……。もう見切りをつけてよいということか)

 と思う者もあれば。

(なにか理由があるのだろう。このお方には恩義がある。何があろうと断じてお仕えしてゆこう)

 と思う者まで、様々であった。部下らもまた、伏魔殿の王宮の苦労を公人として味わった身である。そんな中で、瞬志の気が触れたかと思うような話を聞かされて、複雑な気持であった。

(このお方なら、と思ってきたが。残念だ)

 という思いを禁じえぬ者がいたとて、不思議ではなかった。

 瞬志も、それぞれの顔つきを見て、それぞれ複雑な気持ちになっているのは察していた。しかし、疲れからか、それに対し上手く対処する術を見出せなかった。

「すまぬが、ひどく疲れた。休ませてくれ」

 と、立ち上がり、用意された部屋に行こうとする。そこですぐに立ち上がり、付き添う者。遅れて立ち上がり、距離を置く者と。反応に違いが出た。

(馬鹿正直に話をしたのは、誤りであったか)

 さすがの瞬志も複雑な気持ちになった。どうすればよかったのか。しかしなぜあんなことが起こったのか。

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