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幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
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慶群帰還

 食べるものも不自由はさせず、頼めば持ってくるようにしていた。

「飯の心配がねえなら、それでいいか」

「そうだね、飯が食えりゃ文句ないよ」

 源龍と羅彩女はそんな下層出のたくましさを見せた。

 広間に案内されれば、敷くのと掛けるのと、各人にふたつ毛布が用意されていた。源龍は一角に居座り、鎧だけ脱ぎ、打龍鞭を横たえ。毛布を敷いて。その上に寝ころび、無造作に掛け毛布を掛けて、そのままいびきをかいて寝入ってしまった。その横に羅彩女も同じようにして横たわって、すうすう寝息を立てて寝入った。

 やはりあの激闘で疲れていたのだ。

 他の面々も思い思いに場所を取って座り、雑談をしたり静かに瞑想したり、横たわったりした。

「あんたはあたしらと一緒にいな」

 龍玉は、聖智に自分たちから離れないように、釘を刺した。彼女が何かをするとは思っていないが、精神的に不安定になっているようで、その状態でひとりにするのは危険だと思わざるを得なかった。

「すまぬな」

 好意に素直に感謝し、甘え、聖智は皆と離れないようにして。隅で瞑想していた。

 そんな聖智に、香澄とマリー、リオンにコヒョも付き添ってやり。貴志も皆と一緒だった。

 そんな広間の様子を聞いた志明は、

(楽しそうだなあ)

 と、少し羨ましさを禁じ得なかった。

 長兄の瞬志は港に留まっていると聞いた。水軍の将軍としては、それが一番よいのであろう。

 個室のやんごとなき方々は、部屋に入ったきり物音ひとつさせない。よほど疲れていて、そのまま寝入ったのであろう。

 要は、皆が疲れていた。志明も立ち机で頑張っていたのだが。頭はふらつき、舟をこぐ有様であった。見かねた部下が、

「お休みになられては」

 と進言するが、志明は仕事があると踏ん張ろうとする。しかし無理がたたり身も心も病んでしまいかねない。部下はやや強引に、

「お休みなされませ」

 と迫るように言い。そこでようやく、わかったと、志明は自室に入って休むことにした。

 広間の面々で、雑談していた者らも、あくびを禁じえずに互いに苦笑し。並んで横たわって、寝息を立てて寝入ってしまった。香澄ですら、である。

 聖智も座して瞑想していたが、そのままで寝入っていた。

 まだ陽も高い時刻である。庁舎仕えの者らは、何をしてきたのかと疑問に思いつつ、よほど疲れていたのだろと思った。

 なにより、男女が入り混じっているのに間違いが起きないことには感心させられたものだった。子どもも健やかそうで虐待をされている様子はない。

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