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幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
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鋼鉄激突

「ええい、燃やしてやる!」

 三つの口から火焔が放たれて、蓮華を焼き尽くそうとする。しかし、蓮華から流星が放たれ、それが火焔と当たり、互いに消滅した。

 亀甲船の面々は、形勢逆転なるかと期待しつつも、呆気に取らされもした。まったく予想できない展開である。

 貴志の描き出した蓮華は、いかなる結果をもたらすのであろう。

 それに、蓮華の中に入った源龍と羅彩女はどうしたのか。鋼鉄の星龍のように己の意志で動かせることができているのかどうか。

「それにしても」

 太定は言う。

「我が物とばかりに振りかざす蓮華にしてやられるとは。なにか寓話めいているではありませんか」

 雄王をはじめとする面々は、その言葉に素直にうなずく。

「源龍に羅彩女さんも、なかなか、凄いことするなあ」

 貴志は感心と驚きが入り混じった気持ちを吐露する。まさか蓮華の中に入るなんて。描き出した貴志も予想外のことだった。

 蓮華の中はどうなっているのか。それは貴志にもわからない。ただ、仏の教えの逸話にあるように、阿修羅が蓮華の中に身を隠すくらいだから、居心地がいいところなのかもしれない。

 ということは、あの鋼鉄の阿修羅も蓮華の中に飛び込むかもしれない。と、思われたが……。

「どうするんだよ、くそ!」

「畜生、忌々しいくそ花め!」

 などと、汚い言葉を放つ。

 阿修羅も身を隠す蓮華に対し、憎しみすら抱いているようで。心が荒むとは、そんな風になるということなのかと、しみじみと感じた。そして、雄王の「哀れな」というつぶやきも思い出された。

 追っても捕らえられず、火焔を放っても流星によって消されて。手も足も出ず、苦労をさせられてしまっていた。

「ええい、馬鹿正直に相手するこたあねえ!」

「覚えてろよ~!」

 人狼と画皮は蓮華を攻めあぐねて、ついに観念して、どこかへと飛び去って。空の彼方に消え去っていった。

 亀甲船の面々は、ずっこけそうな思いだった。あれだけ威勢がよかったのに、観念して逃げることの何と呆気ないことか。

 おそらく人狼と画皮、それに鋼鉄の阿修羅はまた眼前に立ち塞がることだろうが。とりあえず今の危機は脱することができた、と言ってよいか。

 さて、蓮華である。

 遠ざかる阿修羅を見送るように、ふわふわ浮いているかと思えば。源龍の黒い星龍と羅彩女の赤い星龍が飛び出してきて。そのまま亀甲船に迫る。

 なかなかの迫力である。雄王も太定も、瞬志に志明は思わず驚かされてしまった。が、もちろん襲ってくることはなく。

「お、おお!?」

「ひゃっ!」

 星龍からするりと源龍と羅彩女が無手で抜け落ちたと思えば、亀甲船の翼虎の旗がはためく甲羅のてっぺんに降り立ち。身軽な動作でまた滑り落ち、うまく受け身を取って皆の前に降り立った。


鋼鉄激突 終わり

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