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幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
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鋼鉄激突

 あの蓮華は敵の武器にされてしまい、味方を追い込んでいるようだ。なぜこんなことになるのか。

 あの蓮華には変な威力があって、下手に近寄ると打たれてしまう。だから、星龍は距離を取って流星を放った。しかしそれも打たれてしまう有様。

「はーっはははは! なんか知らねえが蓮華のおかげで無敵だぜ! なあ画皮よ」

「おう、人狼! お前ら、お経を唱えてせいぜい閻魔大王にいじめられないよう祈りな!」

 憎たらしい嫌味が響く。

 打つ手なしか。

 香澄は希望はあると言った。何を根拠にそんなことを言っているのか。不安を紛らわすために無根拠に言っているだけだとしたら、かえって絶望しかない。

 しかし、不思議なところはあるが、無根拠なことを口走る者ではないというのは、今までの付き合いでわかったことではあるが。

 香澄といえども人である以上、過ちは犯すであろうし。さて、今は、その希望という言葉をどうとらえればよいのか。

(って言うか、香澄は本当に人なのか?)

 貴志はそんな疑問があった。別に彼女が人狼や画皮のような悪質な人外だと思わないが、龍玉のような人にも親しめる九尾狐のような人外というわけでもなさそうで。

 彼女は何者なのか。それが分かるときは来るのだろうか?

「……。ままよ!」

 源龍の黒い星龍は鋼鉄の阿修羅に突っ込む。身を丸めて鉄丸にならず、その身を真っ直ぐにして。

「何考えてんの!」

 羅彩女が驚きの声を発するが、源龍は聞こえぬとそのまま頭から突っ込み。鋼鉄の阿修羅は蓮華の茎をしっかと握り、また打とうと構える。しかしすんでのところで、黒い星龍は身をひねって。

 なんと、頭から蓮華の中に入り込んだではないか。

「……!」

 羅彩女も思い切って、鋼鉄の阿修羅に突っ込み。同じように身をひねりつつ、蓮華の中に頭から突っ込んだ。

「なんと!」

 亀甲船の面々もこれを見て驚きの声を発せざるを得なかった。まさかそんなことをするとは、そして、そんなことができるなんて。

 予想だにもしなかったことだ。

「な、なんだと!」

「なんじゃそりゃあ!」

 人狼と画皮は驚き、蓮華をぶんぶん振り回すが、中から星龍が出てくる様子はない。

「ど、どこに行きやがった!」

 と、蓮華の中を覗きこめば。

「あッ!」

「わあー!」

 と悲鳴が響く。なんと蓮華の中から流星が飛び出し、阿修羅の正面の顔面を直撃したのである。

 その弾みに、阿修羅の手から蓮華が離れて。風に流されるように遠ざかり、ふわふわ浮いた。

「くそ!」

 阿修羅は蓮華を追いかけるが、なぜか追っても追っても、風の悪戯か、追いつかない。蓮華はふわふわ浮いたままで流れて、阿修羅から遠ざかる。

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