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幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
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遇到公主

 その中のひとつ十七名の美丈夫ばかりで組んだ十七少年団も人気があり、劉開華はいたく惚れ込んでいるという。

「暁星の女性たちは胸を焦がし、暁星の男性たちは彼らに嫉妬のまなざしを向けていると、母国でもそれほどの人気だと聞いています」

 ただそういう歌舞団は辰にもあるが、劉開華は暁星の十七少年団が気に入ったと語る。

「遠くへの憧れがそうさせるのかな? 私は辰の歌よりも他国の歌に憧れるわ」

 と自己分析をする。

 源龍は聞き流し、羅彩女は「またまだ娘っこだねえ」とつぶやき、子どもと香澄は貴志に十七少年団のことで質問攻めにする劉開華を微笑ましく見つめる。

「おひいさま、貴志殿もお困りのようで。そこまでにしておきなされ」

 見かねて公孫真が諫める。

「申し訳ない。僕は歌舞団の誰とも知り合いがなく」

「宰相の息子さんだから期待していたんだけどなあ~」

「謝ることはありませぬ」

 公孫真は劉開華に代わって貴志に詫びる。

「おひいさまも、もっと大人にならなければいけません」

「公孫真のお説教がはじまったわ。わかったわ、頑張るわ」

 劉開華は落ち着きを取り戻し、公孫真とともに源龍ら一行を案内する。誰が面倒を見ているのか、壁には燭台がかけられ、火が灯されている。

 この緊急用の地下通路は一本道でなく。ところどころ分岐点があり、迷路としてもつくられているのがわかる。公孫真と劉開華は迷わずに進む。日頃避難訓練をして、道を覚えていると話す。

 やがて階段があり、それを上る。高い階段だ、どこまで上にのぼるのだろうか。

 しばらくして、扉に行き当たった。扉には手回しで開ける鍵があり、公孫真がそれを回して扉を開ける。

 扉が開けられて、外に出てみれば。

「おお」

 源龍が珍しく驚きを見せて声を出す。

「船?」

 貴志は珍しそうに、目の前の船を眺める。

 扉の外は、宮殿の中のどこなのだろう。そこはとても広く、屋根がない。地面は正方形に切り出された石が敷き詰められて、平らになるように整備されている。

 そこに船があった。

 大きな船だった。木で作られた木枠の台の上に鎮座している。

 皇帝の趣味なのか、宮殿に船を飾るなど、なかなかできるものではない。

 船も技術の粋を集めて造られたのがうかがえるほどに、曲線のなめらかさはあでやかささえ感じさせて、その造形も美しい。

「万一敵に地下通路を知られた場合にそなえ迷路状につくっていますが、ここは敵を迷い込ませる罠の区域です。本番ならば衛兵が待ち構えているところです」

「手の込んだことだぜ」

 源龍が皮肉っぽく感心する。

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