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幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
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鋼鉄激突

「なんだこりゃ?」

「それで、どうしろっての?」

 源龍と羅彩女は素っ頓狂な声を出してしまう。人狼と画皮の、鋼鉄の阿修羅はこの真っ赤な蓮の花を見て固まって、宙に浮いている。

 変な成り行きで停戦状態となってしまった。

 あの時、白羅時代ペクラじだいで阿修羅と戦った面々は思い出した。かつて、白羅の時代に飛ばされた時、わけのわからない地獄巡りみたいなことをさせられた果てに、阿修羅と戦い。その阿修羅は、窮地に追い込まれて。蓮の花に身を縮めて隠れた。(第229部分参照)

「……!」

 黒と赤、二体の星龍は咄嗟に身を丸めて鉄丸となって阿修羅に突進し、体当たりを食らわせた。

 ごおおん、という激突音がして。ぶつけられた阿修羅は弾かれ、「わあああー」と悲鳴を上げて、体勢を崩して、海に落下した。

 身を解いた二体の星龍はその様を見届ける。やったかと、亀甲船の面々も固唾を飲んで見守る。

 蓮の花もその様子を見守るようにして、宙に浮く。

 しかし、仕留め切れてなく、またも阿修羅は海から飛び出し、星龍と、蓮華と対峙する。

「ちきしょう、なめやがって」

「まだまだ、これから」

 阿修羅は火焔を放って星龍から間合いを取る。どうするのかと思えば、なんと宙に浮く蓮華の茎の部分を握って、捕まえたではないか。

 天下によって描き出された蓮華は大きく、鋼鉄の阿修羅と同じくらいの大きさだった。それが棍棒のように、ぶんぶん振り回される。

「ありゃりゃ」

 貴志は思わず呻いた。まさか蓮華が阿修羅の武器になるなんて。他の面々も表情が固まる。ただ香澄ら世界樹の面々は冷静だった。

「ふん、蓮華ごとぶちかましてやるぜ!」

 黒と赤の星龍は流星を放った。だがしかし、流星は棍棒のように振るわれる蓮華によって打ち返されてしまった。

「うおお!」

「なんでよ!」

 打ち返された流星は星龍目掛けて飛んで、咄嗟に避けた。

「……」

 貴志は呆気に取られて、言葉もない。他の面々も同じだった。まさか貴志の描き出した蓮華が阿修羅の武器になって、流星が弾き返されてしまうなど。なぜ、こんな敵を利することになってしまったのか。

「はーっはっはっは!」

「なんでえ、おどろかしやがってえ~」

 人狼と画皮は驚いたのが一転し、余裕綽々で蓮華を振るって星龍に迫った。

「ちぃ!」

「ざけんじゃないよ!」

 やむなく二頭の星龍は間合いを詰められないようにして、流星を放った。しかし、蓮華に打ち返されてしまう。

「仏の教えの象徴である蓮華が、阿修羅に使われるなど」

 雄王はううむと呻く。仏の教えには、帝釈天との戦いに敗れた阿修羅が身を縮めて蓮華の中に身を潜めるという逸話があるが。

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