鋼鉄激突
部屋の中も同様に動き、身体もその勢いに押され、帯がなければ座椅子から放り投げられてしまっていた。
風は入ってこない。前面は壁と言うか、透明な窓のようだ。
火焔を噴き出させてみようとすれば、その通り大口開いて勢いよく火焔を噴き出したと思えば、火焔ではない。
流星が放たれたではないか。
「流星!?」
「でも、すごいねこれ!」
水晶を触れながら流星を噴き出させて、ふたりは驚くやら面白いやら、知らぬ間に楽しく有頂天になっていた。
「この火龍は、火焔ではなく流星を放つ。ゆえに星龍という」
最初火龍と言っていたのに、それを改めて星龍と称するとは。世界樹も案外いい加減なところがあるものだ、と思いつつ。そんな呆れや疑問より、その、星龍を動かすことに心を奪われていた。
水晶は胸元のあたりにあって宙に浮き、微動だにしない。どういうからくりなのか。そこまでは言葉は教えてくれない。
ただ、このそれぞれの黒と赤の鋼鉄の星龍が意のままに動かせるのは確かなようだ。
ふたりはしばらく星龍を動かすことを楽しんでいた。何か忘れているような気がするが、忘れていることも忘れるほど、星龍を動かすのは楽しかった。
やがて、海上に船が見えだした。そして、見覚えのある、亀の甲羅のような装甲のある船も……。
「ありゃ貴志の兄ちゃんの船じゃないの?」
「あの、堅物野郎のか」
船がこちらから見える、ということは、むこうからもこちらが見えるはずだ。目を凝らせば、顔を上げてこちらを指差す人影も見える。
そして亀甲船も同じだった。
「鋼鉄の火龍!」
貴志らは身構えた。宇宙から暁星の海に戻り、潮流と風に運ばれながら港に向かっていたが。
「赤と黒とは。新手のか」
瞬志は剣を抜き臨戦態勢を取る。が、あんな化け物を相手にでは、いかに剣を用いようとも勝てそうな気がしなかった。
貴志と龍玉と虎碧、南達聖智は、新手の鋼鉄の火龍を見上げて。どうしたものかと悩み思案していたが。
マリーとリオン、コヒョは違って、微笑んでいた。
リオンは懐から通心紙を取り出し。
「源龍、羅彩女さん、ご機嫌いかが?」
などと、のんきなことを言うではないか。しかも、源龍、羅彩女の名を聞き、一同は驚きを禁じ得なかった。
同時に火龍、もとい星龍の動きも止まり、じっと亀甲船を凝視する。
「なんだ、餓鬼もいるのか!?」
「どうしてそこに?」
という声が通心紙からするではないか。確かに源龍と羅彩女の声だ。
「餓鬼とはご挨拶だなあ、ちゃんとリオンって呼んでよ」




