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幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
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突撃流星

 羅彩女は鏡面を覗く。何かないかと。

 しかし鏡面は彼女の顔と、この広大な宇宙の星々を映し出すばかり。

(守り給えか……)

 羅彩女にも聖智の声は聞こえた。天頭山教のことはよくわからないが、多神教で星も守護神とされているようだ。

 その星を掴んで投げつけられたら、と思わずにはいられなかった。

 香澄と源龍、龍玉と羅彩女は鋼鉄の火龍と渡り合っているが、遊ばれているのか、多大な打撃は受けないが、効果的な打撃も与えられなかった。

 貴志とマリーに、聖智にリオンとコヒョも傍観するしかなかった。

「もう、なんとかならないの!」

 やぶれかぶれに、羅彩女は鏡面に触れようとしたが、なんと、あろうことか手首まですっぽりと鏡面の中に入ったではないか。同時に何かを掴む感触がする。

「星!?」

 鏡面に映る星が掴めて、まさかと思って掴んだまま出してみれば、出せた。掌に収まる丸い光る球だった。

「もう! ええーい!」

 やぶれかぶれに掴み出した星を投げつければ、それは尾を引く流星となって火龍目掛けて飛んだ。

 向こうもそれに気付き、火焔を放つが。なんと、流星は火焔もなんのその、溶けることもなくそのまま飛んだばかりか火焔を吹き飛ばし。

 そのままその鼻先にぶつけられた。

 鋼鉄の火龍はのけぞり、鈍い金属音の悲鳴を上げた。

「え、なに、なんなの!?」

 羅彩女をはじめ、他の面々も面食らって魂消た。

 流星を食らった鋼鉄の火龍は、馬車の車輪に踏まれた蛇のように、のたうちまわる。

 咄嗟に香澄は羅彩女のそばまでゆくと、手を差し伸べて、

「鏡を」

 と、求めた。

 羅彩女も訳が分からないながら、青銅鏡を渡した。すると香澄はすぐさま聖智のもとまでゆく。

 そうする間に鋼鉄の火龍は持ち直して、赤い目で周囲を睨めば。すぐさま大口を開けて火焔を放つ。それに対して龍玉と虎碧も火焔で対抗し、源龍と羅彩女は火龍の後方に回ってその尾に得物をぶつける。

 火焔が火の玉となって弾け、打龍鞭と羅彩女の軟鞭が尾と渡り合う金属音が響きわたる。

 貴志は筆の天下を構えた。こんな時に何かを書かされるのだ。それは貴志にもわからないが、とにかくすぐ書けるように筆の天下を構えて。マリーを伴い、香澄と聖智のもとまでゆく。

「僕に何か出来ることはないかい?」

 と言えば、香澄は微笑んで鏡面に手を入れ、星をひとつ取り出した。

「聖智さんに筆を貸してあげて。聖智さんは自分の気持ちを星にしたためて」

 リオンとコヒョ、マリーは互いに笑顔を向き合わせて、頷き合った。

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