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幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
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幻界入侵

「はあ、香澄らしいねえ」

 こんな時にもそんな空想と言うか妄想と言うか、そんなことを考えるなんて。香澄の思考の果てのなさに思わず感心してしまった。

 という時、リオンは「おんや?」と素っ頓狂な声を出してしまった。香澄は無言だが、厚紙に映し出されるものを凝視する。

 互いの顔が映っていたのが、すうっと消え、ただ銀河が映し出されたが。それと入れ替わりに、この宇宙の銀河を、泳ぐ者があった。

 まさかと思って目を凝らせば、見間違いではない。確かにこの宇宙の銀河で泳ぐ者がいる。

「……源龍げんりゅう羅彩女らさいにょ!」

「まあ……」

 リオンと香澄は我が目を疑い、何度も見直したが。確かにそうだ。源龍と羅彩女が宇宙の銀河を泳いでいる。

 源龍は黒い鎧を身にまとい、打龍鞭の柄を握りしめ。羅彩女は赤い鎧に赤い軟鞭を握りしめている。

 何故そこにいるのか知らないが、何かと戦っているようだった。

「なんだここは!」

「夜空に浮いてんの、あたしら?」

「雲の皇帝に飲まれてこの様だぜ」

 ふたりは事態が飲み込めず、周囲をきょろきょろ見渡しているが。目に見えるのは果てしない夜空、宇宙の銀河。ふたりは夜空に浮かんでいるように感じているようだ。

 香澄とリオンはその様をじっと凝視する。

 

 時はさかのぼる。

 世界樹そびえる草原の世界に源龍と羅彩女はいたが。突如現れた雲の皇帝と一戦を交えることになってしまった。

 雲の皇帝は不思議な銅鏡を狙っているらしい。羅彩女はそれを手にして逃げ。それを追う雲の皇帝をさらに追い、源龍が得物の打龍鞭だりゅうべんを打つ、という風にしていたが。

 雲の皇帝は見かけによらず硬く、打龍鞭が効かない。

 すると、羅彩女が手に持つ青銅鏡が突然光り出した。

「わッ!」

 不意に光り出したため、羅彩女は目をやられて。思わず立ちすくんでしまった。

「馬鹿野郎!」

 逃げる羅彩女を雲の皇帝が追い、さらに源龍が打龍鞭を振るって追う、という展開であったが。羅彩女は立ち止まってしまい、雲の皇帝の大きな手が迫って。ついに、つかまってしまった。

「このお、離せ、離せ!」

 雲の皇帝は右手で羅彩女を掴んで掲げ。源龍はその足を遮二無二に打ち付けたが、びくともしない。

 羅彩女は、相手の目当てが青銅鏡だということで、握られた状態で咄嗟に源龍を見据えて、

「頼むよ!」

 と、源龍めがけて青銅鏡を放り投げた。

 打龍鞭で足を打ち付けていたのをやめ、跳躍して落下する青銅鏡を左手で掴み。着地と同時に、

「鬼さんこちら、手の鳴る方へ!」

 と、からかいながら駆け出す。

 雲の皇帝は羅彩女を放り投げ、源龍を追いかける。

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