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幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
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幻在相交

「おう、似た者同士、こいつはおめえがやりゃあいいだろ」

 咄嗟に源龍と香澄は入れ替わり。穆蘭とふた振りの七星剣を唸らせ、渡り合う。

「じゃあこっちお願い!」

 龍玉が、入れ替わったのを見て源龍を呼びつける。

 変わり果てた馬豪と宋巌はぐにゃぐにゃで顔をにやつかせて、「女、女」と言いながら素早い動作で拳、掌、脚を繰り出して。龍玉と羅彩女はそれを躱しながら得物を繰り出していた。

 しかし馬豪と宋巌は結構強い。徐々に押されてきていた。

「もうほんと、貴志の言う通りしっちゃかめっちゃかだね」

 リオンがぽそりと漏らす。向こうの世界での、義士っぷりを見ているだけではない、少しの間でも世話になったから、尚更変わりようが強く印象に残る。

 阿修羅刹嬉といえば、のたうち回っていたのが。いつの間にか動かなくなって、倒れて、ぴくりとも動かない。止めを刺されたのかどうか。

「爺ぃども!」

 打龍鞭は唸り。馬豪と宋巌は、そのまま薙ぎ払われて、吹っ飛ばされてしまって。ぐにゃりとした様のまま背中をしたたかに打って地面に落ちた。

「バラバラになるのはまずい。ひと塊になるんだ!」

 貴志は言う。敵は変幻自在。ひとりが単独で真正直に相手をしていては勝ち目がない。ここはまとまって対応するのがよいだろう。

 言われて源龍は、「おう」と応えて貴志らのもとに戻り。羅彩女と龍玉も続くが。香澄と穆蘭の戦いはいつ終わるとも知れず。

 阿修羅刹嬉は、ぴくりとも動かなかったのが、手先をぴくりと動かし。そうかと思えば、足を上下にばたばたとばたつかせた。するとそれに呼応するかのように、ぐにゃぐにゃの馬豪と宋巌が動き出すが。

 ふたり仰向けに倒れていて、なんと、手足の関節が逆に曲がって仰向けのまま四つん這いになって。

「うひゃあ、気持ち悪ぅー」

「見ていられないわ」

 リオンと虎碧は思わず目をそらした。娘の膝枕で休んでいるマリーは目を開けない。目を開けていられないことが繰り広げられているのは容易に想像できた。

 香澄と穆蘭はそれとは別に渡り合うが、馬豪と宋巌のあらぬ姿と動きは視界に入り。

「化け物」

 穆蘭は軽蔑丸出しでつぶやく。香澄無言。

 で、馬豪と宋巌は仰向けの四つん這いの格好という奇妙な姿で阿修羅刹嬉のもとへと駆ければ。ぱかっと刹嬉の口が開かれて。ふたり跳躍すれば。

 刹嬉の口から、ごおー、と風の唸る音がし。まず馬豪が頭から吸い込まれ、続いて宋巌が吸い込まれてしまった。

「おいおい、次は何が起こるってんだ」

 次から次へと起こる現実離れした出来事に、源龍はあからさまに呆れてしまう。

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