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幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
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捏的測験

 本来は秘密なのだが、辰の皇帝・康宗と皇后の靖皇后と謁見した暁星の使節団と会って話す機会があり、そこで絵の達者なものが簡単ながら描いて見せてくれた。

 もちろん、ばれたら大変なのですぐに燃やしたが。その壮麗さはとても印象に残るものだった。

 自分がその宮殿にいるのである。

 ところは宮殿の中の、謁見の間。

 建物の中かと思うほどの広く、天井も高く。並ぶ柱も高く太く。どのようにしてこのような建物をつくったのか、まこと人の手によるものなのかと思ってしまうほどに、壮麗なつくりであった。

 謁見の間の一番北側はまた数段と高く、階段で上り下りする高座があり、そこに皇帝が座す、金箔を張り巡らせた玉座がふたつ据え置かれている。右が皇帝、左が皇后の玉座である。

 陽の光もよく入る設計にされており、屋内にあっても暗さを感じることはなく。また燭台も数多く設置され、夜にあっても闇に呑まれることもなく。

 壮麗なつくりのみならず、常に光りあって皇帝と皇后を闇から守るつくりもなされていた。

 それは地上に現れた極楽浄土とでもいおうか。

 その極楽が、今、阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。

 あろうことか、どこから入ったのか巨大な鳳凰が所狭しと羽ばたき、なんと人をついばみ、飲み込んでいるではないか。

 無慈悲にも飲まれた臣下は哀れな悲鳴を上げて、鳳凰の喉の中へと吸い込まれ、胃袋に落とされてしまった。

「あの絵本みたいなことに」

「絵本の中に飛ばされたんだよ!」

「口から鬼が!」

 羅彩女は桃の木剣を構えた。気が付けば、周囲は鬼もたくさん浮遊している。

「鳳凰が食った人の魂がになって口から漏れ出してる、っての!?」

 羅彩女は片っ端から鬼を木剣で打ち、消滅させた。鬼という鬼、ことごとくが苦悶にあえぐ人の顔をしており、それが大口開けて、

「怨怨怨怨!」

 という呻き声を発しながら、面々に迫ってくる。

「世界樹は私たちに何をさせたいの?」

 香澄は子どもに問う。冷静に七星剣で鬼を打ち払いのけながら、すがる子どもを守っている。

 源龍は打龍鞭で、貴志は筆を懐に入れて拳や掌、脚で打ち払う。木剣のように消滅させることはできないが、物理的に払いのけることはできる。が、とどめを刺せられないから、厄介だった。

 また謁見の間では辰の臣下や衛兵が競い合うようにして逃げ。その中に、衛兵が身を寄せ合って皇帝皇后を守りながら、謁見の間から脱出しようとするのも見受けられた。

 皇帝と皇后にのみ許される色の、黄色の官服を身にまとっており。顔がわからなくとも服の色で、それが皇帝と皇后であることがわかった。

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