表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
299/539

永無止境

「お可哀そうに」

 香澄は自らが渡り合う骸骨、胤帝にそんなことをまたつぶやいた。七星剣は閃くも、かすりもしない。それは反魂玉の力によるものか、それとも……。

 その一方で、源龍も打龍鞭を振るい、風を起こし唸らせるが。なぜかこれも、首無しにかすりもしない。

「けけけ」

 と、抱えられた首が源龍をあざ笑う。

 さてこの勝負も、どのように転ぶのか。という時であった。

「うおおおおーーー!!!」

 というけたたましい雄叫びが轟き。何事かと思えば、それは大刀を握る関焔であった。

 全速力で突っ走り、人狼と画皮目掛けて突進してくるではないか。

「ちっ、馬鹿め」

 人狼は忌々しく舌打ちし、自分に向かってくる関焔を睨む。画皮も冷たく睨む。

 その途端に、骸骨と首無しは咄嗟に相手から離れて間合いを取るや。突っ込んでくる関焔向け駆け出す。

 源龍と香澄は追うが、間に合わない。

「畜生! なんて身のこなしだ!」

 源龍は忌々しく叫び。

 叫び終わるころには関焔と骸骨、首無しは接近し。一瞬のうちに激しく渡り合い。大刀は唸りを上げ、なんと骸骨の首を刎ね。次いで首無しの胴と腰を一刀両断する。しかし、関焔も拳や脚を急所に食らって。ふらつき。

 三体そろって倒れこんでしまった。

 骸骨と首無しはもうぴくりとも動かない。源龍と香澄は関焔のもとまで駆け寄り。人狼と画皮は動かず、高みの見物を続ける。

「おい、まだ生きてるか!」

「無茶なことを」

 倒れた関焔に源龍と香澄は声をかける。そうすれば、関焔は、まだかろうじて生きているようで。口をぱくぱくさせる。

「オレは、オレは……」

 関焔は声を必死の思いで絞り出す。

「正義だの大義だの、維新だの、本当はどうでもいいんだ。気の合う仲間たちと馬鹿話が出来たら、それでよかったんだ。だけど、正義だの大義だの、維新だのが、仲間と仲間との馬鹿話を奪った……」

 満足に身体も動かせないが、目だけはぎょろりと人狼を睨む。

「オレはそいつらが憎い!」

「はははッ!」

 関焔の必死の叫びに、高笑いで人狼と画皮は答えた。

「見抜けなかったお前らが馬鹿なだけだ!」

 関焔はぎょろりと人狼と画皮を睨むが、もう身体は動かない。骸骨と首無しの拳や脚は、頭や腹にもろ入って。脳や臓物をずたずたにしたこと、想像に難くない。となれば、もう命は長くあるまい。

 それでも、関焔は必死の思いで大刀を振るい。骸骨と首無しを仕留めた。その執念の燃え盛る様もまた想像に難くなかった。

「あ、ああ。オレは難しいことはわからんが。オレは馬鹿でよく人から嫌われた。だから居場所や友達が欲しかった、寂しかった。北娯維新軍はそんなオレの心の穴を埋めてくれた、希望だった……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ