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幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
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永無止境

 源龍と関焔、香澄と羅彩女、龍玉も並んで。相手と対峙する。

 関焔はしかし、ぶるぶると震えて。顔も真っ青になったり真っ赤になったりと忙しい。相当心が乱れている。

「どうして、どうして!」

 関焔はたまらず叫んだ。それに対し、人狼は、けけけ、と意地悪く笑う。秦算も同じく笑う。

「これがオレが見たかったものさ!」

 と、人狼は高らかに叫んだ。秦算はうんうん頷いたと思えば。突然頭頂部から顎にかけてヒビが走ったかと思えば。顔は二つに分かれて。外皮は勢いに任せて飛んで、落ちた。

 そこから骸骨の顔が現れるかと思いきや。なんと出てきたのは、ミミズが団子のように寄り集まって人の顔の形をなした、異様な格好の者だった。そのミミズの集まりに張り付くように、目がある。その目はやけににやにやへらへらとしたふざけた笑みを湛えていた。

 それは、画皮がひの中身だった。

「お前もか!」

 画皮は、白羅の翼虎伝説の時代に飛ばされた時に渡り合い、これを皆仕留めたはずなのだが。

「人狼から聞いたぜ。オレの仲間が世話になったとよ」

「お前も世話してやるぜ!」

「いやいや、恩返しさせてくれよ」

 怒れる源龍をからかう画皮。他に見当たらないが、画皮はこれ一体だけなのか。

 この様子は船からも見え。皇太子は頭がくらくらして、目をそらしてへたりこんで。リオンが付き添った。

 貴志と虎碧は気を張り巡らせて、用心を怠らない。

 香澄と羅彩女、龍玉は無駄口を叩かず。臨戦態勢。

 宮廷周囲は荒れに荒れているし、火の手も上がり、火の粉も飛んで。もはや一国の都の体をなさない。しかし不思議にも、宮廷間近まで暴徒は来ない。結界が張られているのか。

 秦算、もとい画皮が得意になって言う。

「どうやってできたのか知らねえが、死人を蘇らせたり、結界を張れたり。便利なもんだぜ、反魂玉ってなあ」

 右手に持つ反魂玉を高々と掲げる。透明な玉の中で、炎がめらめらと燃え盛る。なにやら不思議な魔力が込められているのは、見て分かった。

「どうして、どうして」

 関焔は相変わらず、ぶるぶる震え。ぶつぶつと、どうしてを繰り返す。

 維新の志は、この有様にて、木っ端微塵に砕け散った。

「はははッ! お前みたいな馬鹿どもは、ちょっと格好いいことを言えば、簡単にそそのかされる。そんなお前らが絶望の淵に落ちた様を見るのは、愉快愉快!」

 人狼は人に化け、世直し、維新を志すとする団体である北娯維新軍をつくった。しかしそれは、人間をからかい、絶望の淵に突き落とすことが目的の。

 人外の妖魔の業だった。

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