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幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
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回報戦闘

「あーれー!」

 と、本当にたまらず悲鳴をあげて。大鮫の大口へと飛び込まされてしまった。

 大鮫は画皮が口内に入るや見境なく口を閉じ、鋭い牙で噛み砕いた。

「ぎゃあああああーーー!!!」

 不快な悲鳴が響く。かまわず大鮫はしぶきをあげて海に戻った。鯱も戻った。

 虎碧はすんでのところで羽毛に足を掛け、跳躍する。その足の少し下まで、大鮫は再び跳躍して迫ったが、すんでで届かず。

「……」

 怖い思いをしつつも、大鮫の口内を見れば、画皮はすでに丸飲みにされているようだった。その腹めがけて鯱が飛び込み、ともにざぶんとしぶきを上げて海に落ちた。

「お、そうだ!」

 源龍は何か閃いたか、左手で身近な羽毛をつまんだと思えば投げ放ち。羽柄が画皮のミミズの一匹に突き刺さった。そうすれば、羽毛に刺された状態で一匹ぽとりと落ちてゆく。

「はは、こりゃあいいぜ!」

 源龍は手当たり次第に羽毛を掴んでは飛び道具として放った。金色の羽毛は無限にあり、残りを気にせず放てるのは気分がいいものだった。

「ちょこざいな!」

 不意を突かれて、数本突き刺さって、ミミズはぽとりぽとりと一匹、また一匹と落ちてゆく。

「な、なんてすごいんだ」

 船の人々は空中戦を眺めて、唖然とするばかり。自分たちの運命が掛かっているのだ。身も心もヒリヒリさせられっぱなしである。

「それにしても……」

 香澄は世界樹の子どもを抱きかかえて、船の中に飛び込んだままだ。彼女も加勢すれば、形勢は有利になりそうなものなのに。どうしたのだろう。まさか体の具合が悪くなったのかと、そんな危惧や不安もあった。

 その横で、鯱と大鮫がぶつかり合い。羅彩女は、「いけー、やれー!」と吠えている。

 虎碧も上がってきて、皆との共戦を再開する。

「一体仕留めたからっていい気になるなよ!」

「うるさい畜生ども!」

 龍玉は吠え返す。吠え返して、はっと何か閃いたのか、突然襟を広げ、胸の谷間をひけらかした。

「はあ、何考えてんだ?」

「な、なにを……」

「龍お姉さんたら……」

 他の面々は呆気に取られてしまった。そして隙を作ってしまった。しかし、画皮は襲ってこない。

「こりゃあいい身体だ、乗っ取り甲斐があるぞー!」

「この女の皮で、お大尽さまをたぶらかすんだ!」

 なんと画皮どもは一斉に龍玉に襲い掛かったのだったが。それは想定していたので、しめしめと、ふっと不敵な笑みを浮かべ。さっきの虎碧のようにわざと落下する。

「鯱の出番だよ!」

「って言うかはしたないことしないの!」

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