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幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
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回報戦闘

「うーん……」

 うっすらと瞳を開けて、上半身を力なく起こし、きょろきょろして、源龍の姿を見かけて。

「……。源龍!」

 さっきまで気絶していたのが嘘のように、飛び起き跳躍し、源龍にしがみつく。

「お、おい、よせ! 鬱陶しいだろうが!」

「幽霊でもいい、姿が見れたら」

「オレは生きているぞ!」

「ならなおさらいい!」

 羅彩女はわんわんと人目もはばからず泣いて源龍にしがみついていた。このことで羅彩女が源龍に思いを寄せているのがはっきりとした。

(源龍も避けようと思えば避けられたと思うけど)

 避けなかったように貴志には見えた。

(なんだかんだで源龍も……)

 虎碧は思わぬ事態に顔を真っ赤にして、目をそらした。子どもたちは、あれはなにをしているのかと大人に尋ねて、答えをはぐらかされて。

「はいはい、仲良く睦み合うのはここまでにして。翼のある虎や阿修羅のことがあるでしょ!」

 龍玉はそう言うが、羅彩女はお構いなしで。虎碧と目を合わせて苦笑する。

「あ、志煥さん、阿修羅や翼虎を見ませんでしたか?」

「阿修羅? 翼虎?」

 死んだと思っていた者が生きて空から降りて、何を言うのかと、志煥は驚きに驚きを重ねた。

「僕らは、どことも知れぬ地獄のようなところで餓鬼や畜生、阿修羅と戦わされてたんです」

「……???」

 貴志の言葉に志煥はますます混乱を覚え。

「……」

 貴志の言葉に反応出来ず絶句し、白目を剥いて、ばたんと気絶してしまった。

「あ、志煥さん!」

 貴志はしゃがみこんで様子をうかがった。息はしているようなので、重大事ではなくただの気絶なのだろう。今までの気苦労もあって、なおさら気絶が誘発されたのかもしれなかった。

「いい加減に離れろよ! ……!」

 源龍は怒って引き剥がそうとするが、なんと羅彩女は突然の口づけをくれてやった。これには源龍もさすがに固まった。

 すぐに口は離され、羅彩女自身も跳躍して下がったが。

「何すんだよ、しかも人前で」

「あはは、ごめんごめん。源龍が生きてたのが嬉しくってつい」

「嬉しくってついじゃねーよ!」

 源龍はだっと羅彩女向かって駆けだす、しかも打龍鞭を振りかざして。

「何を考えている!」

 他の面々は、源龍が突然の口づけに屈辱を感じて羅彩女に襲い掛かったかと思った。羅彩女自身も、打龍鞭を振りかざす源龍を見て、殺気も感じたが。動かなかった。

 すると突然、空飛ぶ阿修羅が船に迫り、羅彩女の背後に迫る。打龍鞭はその阿修羅の三面の頭頂部目掛けて振り下ろされた。

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