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幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
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在海飄移

 源龍は済まして聞き入り、貴志は「え、いや」と戸惑い。香澄と子どもたちは静かに聞き入る。

 虎碧も何かを感じているようだが、龍玉はというと、

「はッ! しみったれたことを言うもんだね!」

 などと吐く。

「あたしは生きるんだ、生きて生きて、生き抜くんだ!」

 吐いて、羅彩女に鋭い視線を送る。

 羅彩女も負けじと睨み返し、交わる視線に火花が散りそうだった。

「もし死ねたら、死にたい?」

 リオンだった。貴志は何を言うんだ! と面食らった。それに対して、羅彩女は、

「そうだね、死ねるもんなら死にたいね」

 などと言う。するとリオンは空を指差し、

「なら、これに殺してもらおうよ」

 と言う。 

 なんだと思って指差す先を見てみれば。羅彩女は固まり、源龍は打龍鞭を構えて。他の面々も抜剣し、貴志も無手ながら構えて、臨戦態勢をとった。

「蝙蝠の化け物!」

 なんと上空から大きな蝙蝠がこちら目掛けて急降下してきているではないか。それも十匹ほど。その姿は鷲か鷹と同じほどの大きさのうえ、その顔は蜥蜴で、大きく開けられた口は牙を剥き出しにする。

「また物の怪かよ!」

 源龍は跳躍し打龍鞭を振り上げ、蝙蝠にぶち当てた。

「ぐげッ!」

 不快感を覚える叫びをあげ、蝙蝠は吹っ飛ばされて、海に落ちる。同時に跳躍した香澄と龍玉、虎碧もそれぞれ剣を振り、蝙蝠は「ぎゃあ」と不気味な悲鳴をあげて海に落ちてゆく。

 それでもまだ残りがあり、船に迫ったが。貴志は脚技で蹴り、羅彩女も桃の木剣をぶつけ、あるいは咄嗟に狼の鬼を出し他の蝙蝠に向かわせて。

 源龍と香澄に龍玉、虎碧が着地するころには、十匹ほどの蝙蝠は海に落とされ、それ以外のものは這う這うの体で逃げて、追い払われていた。

 子どもたちは羅彩女のそばにいて無事だった。

 たわいもないことだった。が、羅彩女は大きく息を吐き出した。

「やっぱり、死にたくないねえ……」

 いくらなんでも化け物や物の怪にに殺されて死ぬのは生理的に嫌だった。

「それにしてもよお」

 源龍は忌々しく言う。

「やけに物の怪に出くわすじゃねえか。どうなってんだ?」

 その通り、白羅の時代に放り込まれてから、やたら物の怪と遭遇する。これはなぜなのか。

「って言うか、夢の中で香澄に仕留められて、転生してから物の怪とよく遭うようになった、っていうのが正解かな……」

 貴志はちらっと香澄に目をやり。見つめられて、香澄は微笑みを返し。貴志は気まずそうに顔をそむけた。

 その間にも船は陸地に向かって進む。

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