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幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
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超越時空

 龍玉の目が鋭く光る。虎碧の碧い目も同じく警戒の色を帯びる。

「いや、いや。そうですね、これらを僕らの船に移しましょう。それから、こまかなことを話し合いましょう」

 こうして、一同は元の船に戻ることになり。貴志と源龍のふたりで宝箱を担いで、移した。ひと箱運ぶのに源龍と貴志とふたりでなければ持てないような重さだった。

 宝箱も移し終えて。それから、どっと緊張感とともに気も力も抜けて。船室で座り込んで、ぼーっとした。

「船、動かそうか?」

「いや、一晩休んでからに……」

 リオンの申し出に、皆は首を横に振り。休ませてくれと言う。それに、どこに行けばよいのであろうか。

「……」

 リオンもどうしようかと考えたが。

「空にとどまるかな」

 と言うと、むにゃむにゃと念じて。船を宙に浮かし。上へ上へと上昇させて。大海原を遥か眼下に見下ろす上空まで昇った。

「空なら、物の怪に遭うこともないだろう?」

 と、しばし空にとどまることを言う。

 龍玉と虎碧は目を丸くし驚きっぱなしだ。

「いやいやいや、あんたらも十分物の怪だよ。人間にそんなことできるわけはないだろう」

「言われてみればそうだね」

 リオンは世界樹の子どもと一緒に笑い、そばの香澄も一緒に微笑む。

「龍お姉さん」

「なんだい?」

「まだわからないところも多いけれど、この人たちを信じてみましょう」

「はあ、あんたもお人好しだねえ」

「あなた方に一切手出ししないことを、神仏に誓いましょう」

 貴志が言う。そういえばこの若者も、なんだかんだで気を使ってくれる。

「好きにおし」

 龍玉は観念して、部屋の隅で横になってふて寝を決め込む。虎碧は困ったような笑顔を貴志に向け。貴志も安心してくださいと微笑みを返す。

 そんなこんなで、それぞれ戸惑いながらも一晩休んで。空の上で朝を迎えた。

 羅彩女は先に起きて水瓶の水で顔を洗い口をゆすいで、船縁越しに口内の水を噴き出した。

 しばらくして源龍と貴志も起きてきて、水瓶の水で顔を洗い口をゆすいで、羅彩女と同じように船縁越しに口内の水を噴き出した。

 それからぞろぞろと、他の面々も起きて水瓶にやってくる。

 空気は少し肌寒いが、船室に入ればしのげる程度だ。

「ちょっと、悪いけどさ」

 羅彩女は龍玉と虎碧に語り掛ける、こまかな話をしようと。

 ふたりは顔を見合わせて、しぶしぶながらも、うんと頷いて。皆船室内に入り、円座になった。とりあえずの人質として、世界樹の子どもとリオンが龍玉と虎碧のそばに控えている。

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