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幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
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超越時空

「で、やるのか、やらねえのか、はっきりしろ!」

「おお、怖い怖い」

 阮撰だった画皮たちは震えるそぶりを見せるが、心から恐れているわけでもないようだ。

「ふふふ、あんたたちは面白い集まりだ。どんな働きをするのか、興味が湧いたから、それをじっくり見せてもらおう」

「何?」

 画皮どもは、ふふふ、と不気味に笑っていたかと思えば。船床を蹴って駆け出したかと思えば、なんと船縁を飛び越えて海に飛び込み。泳いでゆくではないか。

「はあ?」

 これには意表を突かれて、思わず間抜けな声が出てしまう。船縁越しに画皮どもを見れば、泳ぎの速度速く、もう米粒ほどの大きさにしか見えないほど離れて。やがて海の中に姿を消した。

「なんだこりゃ」

「わけわかんないね」

 源龍と龍玉は舌打ちし、忌々しく大海原を眺めていたが。羅彩女ははっとして倉庫へと駆けて、

「まだあるよ!」

 絶叫をこだまさせた。

 まだあるというのは、倉庫の金銀財宝である。立て続けに物の怪に惑わされて、金銀財宝も実は嘘だったのではと思ったが。これは確かに本物だった。人狼が人間の盗賊ような真似をして集めていたというのは、信じてもいいだろう。

「せっかくだからいただいちゃおうよ!」

 羅彩女は顔をパッと輝かせている。倉庫にやって来た他の面々は顔を見合わせて苦笑する。

「軍師さまはどう思う?」

 源龍が貴志に問う。

 この金銀財宝は盗品である。貴志の脳裏には、人狼が人を襲いこれらのお宝を強奪してゆくさまが脳裏に浮かんで。首を横に振りながら、ため息をついた。

 かといって、返す宛てもない。

 羅彩女は顔を輝かせていたのが一転、ばつが悪そうに貴志を見つめ、自分の育ちの悪さを改めて痛感していた。貴志もそれに気付いた。

(緊急事態だ。仕方ない!)

 貴志も割り切るしかないと観念した。

「これは盗品です。本来僕らにはもらう権利もいわれもないものです。ですが、返す宛ても無し。ひととき預かることにし、これを使うにしても必要最低限にとどめて。機会があれば然るべきところに託しましょう」

 貴志はそう提案する。盗品をどさくさ紛れにもらうというのは気が引けた。宝箱に歩みより、中のお宝をじっくりと見据える。

 巍国。

 ある金塊にそう刻まれているのを見た。

「巍国!」

 思わず素っ頓狂な声をあげてしまい、い、他の面々に変な目で見られてしまう。しかし気に留めず、もっとじっくりと見てみる。

「うーむ、これは」

「何を言ってるんだい? ……やっぱりあんたたちもおかしいよ」

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