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幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
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超越時空

「そうだ、こうしましょう」

 従者は何か閃いたようで、改めて羅彩女に跪く。

「あ、そうそう、わたくしめは、阮撰げんせんと申します。張大尽、いや狼野郎に無理矢理側近にさせられておりました」

「それで?」

「この船には財産が乗っています。これをあなた方にさしあげますから、我らを守っていただきたいと」

「はあ~?」

 にこにこしながら言う阮撰に、羅彩女は思わず抜けた声を出してしまった。なるほど船に人狼の財産が乗っているのはまあわかるが、側近の者が勝手にあげるなど言い出して。いい気なものだと思わされた。

「滅茶苦茶だなあ」

 貴志はあからさまに呆れ。源龍も苦笑を禁じ得ない。他の面々は成り行き静観。

 で、羅彩女は顔が変な表情を浮かべようとするのを禁じ得ない。

(財産がもらえる!? 千載一遇の好機!)

 などと、胸が躍る。

 しかしあの狼野郎、人狼のものだ。きっと源龍との再戦に来ると同時に取り返しに来るだろう。

「なんだよ?」

 羅彩女の目は源龍に向けられた。その目はやけににやけていた。

「……。まあ頑張るわ」

 源龍は察して、打龍鞭を見せつけるように一振りして肩に乗せて。羅彩女は満足そうに頷く。

 阮撰や水夫たちは源龍に向き直り、お願いします! と改めてすがった。

「それで、財産を見せてほしいんだけど」

「はいはい、それでは」

 阮撰は立ち上がり、先に羅彩女に渡し板を渡らせ。それから他の面々が続いて、その次に阮撰たちが渡し板を渡って船に移った。

 船は、大きさは自分たちの船と同じくらいの帆船。水夫が風を読んで操船するのだ。後方に船橋があり、その中に入り、船床の下の倉庫に案内されれば。

「わあ~」

 羅彩女は思わず目を輝かせ。源龍もさすがに息を呑んだ。

 言われた通り人狼の財産が倉庫に保管されていた。膝までの高さの宝箱が十箱置かれている。阮撰がそれを全て開けて、中を見せれば。

 その中には金銀財宝がざくざくと詰め込まれており。皆息を呑んでそれを見据えていた。

 さすがの源龍でさえ、

「なんか目がくらくらするぜ」

 と目をそらすほどだった。貴志も同じようにめまいを覚えて目をそらす。が、羅彩女も度肝を抜かれたものの、

「すごい、これなら一生遊んで暮らせるね」

 と、目を輝かせて言う。

 龍玉と虎碧も、唖然と息を呑み固くなる。

「これだけあれば、確かに一生のんびり暮らせるね」

 などと龍玉は言うが、虎碧は固まったまま。

「これも何かの縁だし、あんたらももらえば」

 羅彩女は得意になってそんなことを言い出す。

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