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幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
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超越時空

 親兄弟にいきさつを語っても、からかうなと、信じてもらえなかった。だからやむなく公主の気まぐれの脱国に付き合わされたと、無難に話をつくってそれで納得してもらえた。

 あの鬼の騒乱があっても、実際に自分が体験せねば信じられないことであった。

 ふと、羅彩女は、

「あっ」

 と声をあげて。

「出ておいで」

 と、を出した。ぱたぱた羽ばたく鳩の鬼だった。それを見る龍玉と虎碧の驚きは。ふたり身を固くして、硬直し。息をするのも忘れるほどだった。

 鳩の鬼はぱたぱたと羽ばたいて、遠くに見える船向かって飛び立つ。

「あたしゃこういうことができる人間なんでね」

 とりあえずそう話をするが、ふたりは無反応。鳩は飛んでゆく。

「どうするんですか?」

「とりあえずあの船に助けてもらおう。どんな船かは賭けだけど」

「やれやれ」

 源龍は船室に行き、鎧に着替えてくる。

 さて鳩である。

「おい、ありゃなんだ」

 遠くから鳩が近づいてくる。しかし。

「海に鳩!?」

 かもめ海鵜うみうなど海に生息する鳥ではない、どちらかといえば内陸に生息する鳩が大海原の空を一羽ぱたぱたと羽ばたいているのである。

「珍しいこともあるもんだなあ」

 鳩が大海原の上を飛ぶなど初めて見た。船の者たちは少し鳩に気を取られたが、すぐに意識を外そうとしたが。

「いやまて、なんかあの鳩は様子が変だぞ」

「……、透き通っている?」

 鳩には立体感がなく、透き通って見えもする。

「くるっくーくるっくー」

 鳩は船の上まで来ると鳴き出す。はあ? と船の者たちの目は鳩に引かれて。鳩は飛び去ってゆき。その先には、船。

 船の存在は水夫たちも気付いていたが、気に留めずそのまま通り過ぎようとしていた。しかし、変な鳩が船の方へと飛んでゆく。

「面白い」

 そうつぶやく声があった。

「あの船のもとまでいってみよう」

「何を言われます。我らには火急の用が」

「少しくらい道草を食ってもよいであろう」

 好奇心を湧かせたのは高貴ななりをした若者であった。年のころは二十代半ばで、貴公子然とした振る舞いも様になる。

 従者が諫めるのも聞かず、水夫にゆけと命じる。

「来てるよ」

 遠くに見える船が徐々にでも近づいてくるのがわかる。リオンは、

「僕まだ船を飛ばせるんだけどね」

 と苦笑するが。

「陸地で襲われたらキリがないけど、船なら人も限られているだろう?」

 などと羅彩女は言う。

 船が助けてくれるならよし、もし襲われても一艘の船なら人数も知れているから抵抗もできる。

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