表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
141/539

再次夢想

 貴志も嫌いとはいえ武術の素質のある身、源龍のよき稽古相手を数日はしっかりつとめてしまった。

 が、ふと、

「あ、そうか、怒らせて僕を乗せたな!」

 と見抜き、以後何を言われようとも部屋にこもり本を手に、稽古相手はしなかった。劉開華や公孫真が、なんならと相手を買って出るが。

「わりいが、オレの稽古相手は貴志じゃなきゃつとまらねえよ」

 と、無遠慮に言ってのけ。羅彩女はまるで母親のように、

「公主に失礼だろ!」

 と説教するが。源龍はだってようと受け流し。劉開華と公孫真は苦笑しながらも、まあ源龍の言う通りと受け入れた。

 そこで代わりを果たしたのが、

「私ならどう?」

 といたずらっぽく笑みを浮かべる香澄だった。

 源龍は香澄を稽古相手にするのを避けているようだったが。

「まさか怖いのかい?」

 と、貴志はさりげない反撃を食らわし。源龍は乗ってしまって、香澄を相手に打龍鞭を振るって稽古・鍛錬に励んだ。 

 稽古とは言え、見応えのあるもので、皆それをよい暇つぶしにして見物をした。

 ともあれ、太定のはからいもあって、皆なんやかやで李家の屋敷での生活を満喫した。劉開華は時に雄王に誘われて、安陽女王とともに茶を嗜んだり、宮殿の歌舞団の歌と踊りを堪能したりもし。

 こんな日々が、ずっとこのまま続いてくれてもいいとさえ思ったが。

 そうは問屋が卸さないもの。

 宮殿に至急お越しくださいと諸葛湘がやって来た。辰からの使者がついに来たという。

 その日は秋雨だった。それぞれ部屋で思い思いに過ごしていたが、一気に緊張が走った。

 出発の前に皆で集まった。

「では皆さん、行ってきます」

「私もついておりますれば」

 劉開華は他の面々に一礼をして、公孫真を伴い、馬車に乗り。諸葛湘に導かれて宮殿にゆき。貴志らはそれを見送った。

 雨の中でも、復興の槌音がしていた。被害は甚大と聞いたが、少しでも早くと、雨の日でも作業をしているのかと思うと、胸に迫るものがあった。

 宮殿に着けば、王の間で、女王の座に着き。後ろに公孫真が控えて。

 辰からの使者を上段から見下ろす。雄王と安陽女王も使者の横に並ぶ。

「まさか公主さまが暁星にお越しとは夢にも思わぬことでした。我ら臣下一同、心配をしていましたが。お元気そうで何よりです。」

「それで、辰は、王宮の様子は?」

「はい、悲しいことに皇太子は亡くなられました」

(ああ、やはり)

 あの戦いで、突然兄の鬼が出現して。わかってはいたが改めて報告を受けると、胸が痛んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ