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幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
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再次夢想

 衛兵や従者にともなわれて外に出てみれば、鬼は姿を消し、火もおさまって。騒乱は確かにやまって、鎮まっていた。

「これは」

「まさに光善女王クァンソンヨワンが我らを助け給うたのですな」

 雄王ウンワン太定テチョンは空を見上げて、感傷に浸りたくなったが。それどころではないと、王はすぐに復興のための手はずを整えようとし、太定は許しを得て屋敷に戻った。

 道中、その荒れ具合を見て、鎮まったとはいえ心を痛めざるを得なかった。

 やっとのことで屋敷に戻れば、ここも目を覆いたくなる有様。

 貴志フィチ瞬志スンチと、公主の連れが、李家の召使いや家来のなきがらをならべて。その手を胸の上で重ねさせて。それらに向かい膝立ちになって手を合わせて、かりそめの弔いをしているところだった。

 その中には、光燕世子クァンヨンセジャらのなきがらも。

「おお……」

 ともに生活し、日々を重ねた従者らのなきがらを目にして、また、ついにこうなってしまったかと光燕世子にも憐憫の情を感じ。

 太定は涙を堪えられず、ついに大泣きをしてしまい。大泣きをしながら手を合わせた。

「父上」

 瞬志は父のそばに歩み寄り、屋敷での激闘と、翼虎イグホのことを語った。

 話を聞いて、太定は涙をぬぐい貴志をまじまじと見やった。が、貴志はなんだかばつがわるそうに目をそむけた。

「貴志、そなたにそのような力があるとは」

 翼虎の出現も驚くが、それを息子が出現させたなど。

 どこでそのような力をという疑問もあるが、悪心はないようで、また今の状況を鑑みてとりあえず貴志の不思議な力は問わぬことにした。

 屋敷に戻る際、五十名ほどの衛兵が護衛につけられたが。あとのことはその衛兵が買って出てくれて、貴志や瞬志たちは屋敷に戻って、激闘の疲れをいやすことにした。

 屋敷の中に入るや、源龍は安堵から力が抜けて、思わずよろけ。劉開華もそばの公孫真にもたれかかるようにしてよろけた。

 しかしその公孫真も、倒れそうなものを禁じ得なかった。羅彩女も、世界樹の子どもとリオンも、ひどい疲労感に襲われて、いつまで正気を保てるかわからなかった。

 貴志もそれは同じで。瞬志はその様子を見て、

「おのおの方、部屋で休まれよ」

 と休息を促す。不思議にというか、瞬志は倒れていたせいかひどい疲労はない。

 屋敷の警護は宮殿からの衛兵がしてくれるが、瞬志もそれに加わることにした。

 朱家チュけ親子といえば、雄王は無事であることを聞き、その上で屋敷が気がかりだということで戻っていった。

「ありがとうございました」

 と、李家の屋敷から去る前に、公主やその連れの面々に厚く礼を述べた。無論、貴志にも。

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