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幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
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翼虎飛翔

 だが劉賢は逃げず、風弾をもろに受けた。その瞬間、青白い炎は量を増してそれは鉄甲の鎧の役割も果たすのか、わずかによろけ髪が揺れた程度で済んだ。そのうえ、火炎も消えず。翼虎と源龍が追われるのも変わらない。

 それでも、速度をゆるめず迫った。風弾が利かぬならば直に打龍鞭をぶつけるまでと。

 ついに翼虎と源龍は劉賢のすぐ前まで来て、互いの目鼻もはっきりと見えて。打龍鞭は勢いよく振るわれて。青白い炎包む光燕世子の身を打とうとする。だが相手は逃げない。

 開け放たれた大口からは火炎を噴出させて、それが伸びて振り返りながら翼虎と源龍を追い。劉賢と前後で挟み撃ちの心づもりか。

 振るわれる打龍鞭は、はっしと右手で掴まれた。

 その刹那に、翼虎は急降下して源龍と離れ。源龍は得物を捕まれた状態の宙ぶらり。

「ふん」

 劉賢は打龍鞭を放せば、源龍は落下してゆく。が、それを翼虎が背中で受け止め。源龍も上手くまたがる。

 火炎はなおも迫る。

「公主、桃の木剣をお貸しください」

「え、いいけど」

 嘆くことやまぬ劉開華であったが。翼虎の出現で幾分か立ち直って、戦況を見守っていたが。貴志に言われて得物を貸し。

 香澄は貴志と頷き合い。

「源龍、一旦こっちに戻れ!」

 と木剣を掲げて振るいながら言う。

 源龍は乗り気ではなかったが、翼虎は貴志の意をさとって、急降下する。火炎もそれを追う。

 しつこい、まことにしつこい。しかも速く、振り返って打龍鞭で打ち返す余裕もない。

 急降下した翼虎は地上すれすれのところの低空飛行して。その翼虎向かって貴志と香澄は駆け。互いに頷き合って、ふたり適度な距離を開けて。その間を翼虎が飛び去り。風と共に、火炎も続こうとするが。

 それぞれ得物を振るい、火炎に斬りつける。

 依り代となり得体のしれぬ強さを得た光燕世子の肉体を傷つけた七星剣に、鬼を消滅させる効能のある桃の木剣。それらが火炎に振るわれて。

 まるで炎の蛇のように翼虎と源龍を追う火炎であったが。幾重にも分断されて。そこから風に吹かれて消滅してゆき。ついには火炎そのものが消えた。

「すばらしい連携動作ですな」

 公孫真はうなずき感心し。羅彩女はもろ手を挙げて、

「やっちまいなッ!」

 と上気した顔でハッパをかける。

 子どもたちも、

「いいねいいね~」

「頑張って~」

 と、やんやの喝采を送る。

 劉開華は静かにたたずみ、そばの聖智も同じく。瞬志に朱家親子も期待を寄せ。貴志の母親の星連はあいかわらず意識がないが。戦いの似合わぬ婦人なれば、それがいいかもしれなかった。

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