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幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
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翼虎飛翔

 天を突くような咆哮が轟き。それに合わせて、

「うおおー!」

 源龍も吠えた。上段に構えた打龍鞭を振り下ろせば、一陣の風が起こって劉賢に迫り。くうに壁が立ったかのように立ちはだかり。青白い炎を後ろへと揺らめかし、劉賢自身も速度を鈍らせる。

 しかしそれはわずかで、突進に影響を及ぼさず。それでも。

「たわけが!」

 青白い炎は右手に集まり、それは剣の形となって。互いに目鼻がはっきり見えるところまで迫りあったとき、打龍鞭と炎の剣はぶつかり合った。

 打龍鞭と炎の剣は激しい空中戦を演じ、瞬く間に十数合と渡り合う。

 地上で、子どもたちや香澄に貴志らの面々はその空中戦を顔を見上げて手に汗握って眺め。

「いけー!」

「頑張って源龍さん!」

「やっちまいなッ!」

 等々、あらん限りに声を張り上げ声援を送っていた。その声が聞こえたのか、意識を失っていた天君こと南達聖智ナダルソンチははっと目を覚まし。勢い良く立ち上がった。それに気付いて、香澄がそばに駆け寄る。

「……」

 翼虎に気付き、聖智は声も出ない。翼虎は天頭山と並んで信仰の対象でもある。それが光燕世子クァンヨンセジャ・劉賢と空中戦を演じているのだ。

 香澄に続き劉開華と羅彩女もそばに駆け寄り、聖智を見張るが。よろよろとへたり込んで、うつむいて、魂が抜けたように無言。

(私がやってきたことは一体……)

 翼虎の神々しさ。光燕世子の醜さ。どちらに理があるか、一目瞭然だった。ふと、信徒が「天頭山を眺めながらのびやかに暮らせたらそれでいいんだ」と言ったのが思い起こされた。

 そんな地上をよそに、戦いは繰り広げられる。

 炎の剣を振るう劉賢であったが、一旦間合いを開け。くわっと大口を開いたと思えば、青白い炎が噴火のように噴出されて翼虎と源龍に迫った。

「それがどうした!」

 打龍鞭を振るい、風を起こすも。噴出された火炎は風を跳ね返して迫った。火炎熱もともに迫った。

 跳ね返せぬと咄嗟に避ければ、翼の先端のわずか先に火炎はほとばしった。しかしそれで終わりではなかった。なんと火炎は翼虎と源龍を追うではないか。

「なんだこりゃ!」

 開け放たれた口から噴出する火炎は長く伸び、鞭のようにしなり、翼虎と源龍を追った。後ろを取ったかたちとなった。

 後ろを取られたかたちとなった翼虎と源龍は振り返るいとまもなく、ひたすら火炎から逃れて飛んだが。その先に劉賢。

「いい気になってんじゃねえぞ!」

 後は取られたがそれもかまわず劉賢に突進し、打龍鞭を振るい風を起こせば。風は風弾ふうだんとなって劉賢に迫った。

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