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幻想小説 流幻夢  作者: 赤城康彦
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血腥魂哭

「くそ、どうにかならねえのか!」

 源龍は歯噛みし宙に浮く劉賢を睨む。

「源龍、私を飛ばして!」

 香澄が言い、源龍も咄嗟に閃き。近くに寄り添い、まず香澄が跳躍する、少し遅れて源龍も跳躍する。

 さらに、跳躍しながら源龍は香澄の靴底を下から持ち上げるように力いっぱい押し上げれば。香澄の高度上がる。

「ほう」

 劉賢すこしは感心したようだ。火の玉に襲わせず、上がるに任せれば。互いに視線をかわせるところまで来た。

 その刹那に、得物の七星剣は閃く。

 それを瞬志の剣を止めたように人指し指を出して止めようとするが。――

 七星剣の刃は鋭くも、その人差し指を切り落とした。

「……!」

 ふとい血管の浮かぶ禍々しい顔に一瞬の狼狽が走り。切り口から赤い血があふれ出る。

 しかし香澄とて鳥にまでなれず、そのまま落下し。下に源龍が待ち構えて。左手を伸ばし、落ちる香澄は右足のつま先を伸ばし左足はややまげて。うまく右足で源龍の左手に乗り、七星剣を構える。

「かりぃ。羽毛みてえだ」

 着地上手く体重もかからず軽く感じ、源龍思わず感心する。しかしその余韻にひたる間もなく、怒りに燃える劉賢は宙より急降下し香澄に襲い掛かる。

 それを見てふたたび跳躍し、七星剣の切っ先を向け刺突を繰り出す。この剣は不思議の剣、瞬志の剣を止めたように、止めることはできない。

「ちぃッ」

 忌々しく舌打ちし、刺突をかわしざまに腕を伸ばし、香澄の足をつかもうとするが。するりとかわされ、もう片方の足が咄嗟にその腕を蹴った。さらに、それを踏み台にするかのようにみたび跳躍し、宙で華麗に背面宙返りを見せながら着地した。

 腕を蹴られて劉賢はやや体勢を崩したばかりか、なぜか勢いがついて頭から落下し。咄嗟に源龍は打龍鞭を振り上げ、劉賢に叩きつけようとする。

「むう」

予想以上に速く迫る打龍鞭を避けきれず、やむなく顔面の前で腕十字を組んで打龍鞭を受け止める。 

 打龍鞭は腕十字に当たり、劉賢たまらず吹っ飛ばされてしまい。なすすべもなく、飛ぶこともできず、地に依り代の身体を打って落ち。

「おのれ」

 呻きながら、身体中を震わせて起き上がる。と思えば、眼前に脚が迫る。咄嗟に駆けた貴志が強烈な蹴りを繰り出したのである。

「むお!」

 その靴底は強烈に顔面に当たり、鼻柱は折られて。たまらず鼻血を噴き出しながらまた吹っ飛んでしたたかに背中を打って落ちて。間髪入れずに香澄、源龍、貴志の三人で同時に襲い掛かり。

 七星剣、打龍鞭、貴志の脚が一斉に迫る。

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