37.いざ、初ダンジョンへ(B1F)
ダンジョンはきっちり立方体に切り出された石材がびっちりと組み合って構成されている。等間隔でどういう仕組みで光っているのかわからない明かりが灯っている。俺達はそこを進んでいる。
「基本的に、目につく物は根こそぎ持っていくが、明かりにだけは手を付けるなよ。明かりを持っていったら帰り道が危険になるからな」
戦闘準備の体制をとりながら先行しているヘンミが前を注視しながら言う。
「まあ、基本モンスター倒せば出てくるものをカバンに入れればいいわよ」
「とりこぼさないようにするけど、そのときはよろしくー」
その後に続くセフィアとイリシアが俺に振り返り言う。俺はボストンバッグとリュックサックの荷物持ちフル装備で一番最後に続いている。
言うなればダイヤモンド型の隊形だ。
この地下一階は迷宮になっており、通路の横から部屋に入れる構造となっている。部屋の中をヘンミが入り口からチェックするが、何にもないか、少しのアイテムが入っている宝箱があるか、くらいだった。
ヘンミは角や小部屋の入り口に神経質なまでにチェックに時間を掛けている。さいわい悪質な罠や敵の奇襲などはなかったが、あれば心強い対策となっただろうな。
しばらく行くと、通路のつきあたりに扉があった。ヘンミは一通りのチェックを済ませ、俺達に告げた。
「中に気配が4つある。恐らくモンスターだ。片付けよう」
俺が勢い良く扉を開け、3人が勢い良く飛び出した!!
「……我が命に従い、数多なる業火を彼奴らに与えよ。スプリットバーニング」
イリシアがなにか唱えると、細いオレンジの棒状の光がいくつも室内の何か4体に向かっていった。そして棒状の光はモンスターを貫通した。それは4体のうち3体を燃やし、倒した。
撃ち漏らした残り1体にセフィアとヘンミが競うようにして向かっていった。ヘンミのほうが先に着きそうだ。モンスターは四本足で体を支えていて、紫色の体色であることが伺える。そう思っているうちにヘンミが忍者刀でモンスターの首を飛ばした。
動かなくなったモンスターたちは何かを周囲にばらまいた。これがどうやら倒した時に出てくる通常のアイテムや素材アイテムだそうだ。
「よぉーし、拾って高田さんのカバンに集めるぞ。終わったら次だ」
ヘンミが宣言する。そう言ったのはモンスターの向こうに下り階段があったからだ。ここが最後の部屋というわけだが……?
「高田さん。右真横の端の壁は隠し部屋の扉ですよ。ついでに取っていってはどうですか」
オペレーターのゴールディ少尉が教えてくれる。へー、そんなものもあるのか。俺は無防備に歩いていって壁を調べた。
調べると言っても殴るだけだけどな。すると他の壁と全く同じはずの壁が崩れ、宝箱が現れた。
「高田さん。あなたは走査系スキルを持ってないし、ここの情報を知らないだろう。だからすぐバレるんだ……いい加減に学習してほしいものだ」
いつの間にかヘンミが寄ってきていて宝箱を鑑定している。最後のセリフは誰に向けての発言なんだろうな?ゴールディ少尉は無言でにんまり苦笑している。
「ここがなんか怪しいと思ったんだよ。なぜか」
「そういうことにしておくが、軽率な行動は今後過ごしにくくなることになるぞ。前に気にしないと言ったが気が変わった。しばらくそういった言動には厳しく指摘するからな。」
「わかった」
「ノーリスクで宝が手に入るのはありがたいがな」
「そうだろ」
ヘンミとそういうやり取りをしているうちに宝箱は解錠され、宝石類を入手することが出来た。
モンスターの死体も含め、魔法のボストンバッグにするっと収まった。まだまだ入れることができそうだ。
この階では戦闘に参加することはできなかったが、ダンジョンというのはこういうものなのか。コンピューターゲームで想像していたものよりずっと、こう、なんというかちょろい。俺自身が強くされすぎているからかもしれない。
もっと緊張感のある戦いっていうのをしてみたいなあとか思ってしまった。




