僕は王さま
僕はこの国の王さまだ。
国民を虐め蔑むのが面白くてしょうがない。
今日もとある国民の家に行って家をぐちゃぐちゃに壊してきた。
慌てふためく国民、泣き叫ぶ国民。
あぁ、王さまは面白い。
次の日もまた国民を虐めた。
これも楽しかった。
国民から食料を奪ってやったのだ。
食べ物があるとすぐ群がる国民たち。
飢えているからと言って、惨めに食料に集まる姿は醜くイライラを募らせる。
食料を奪うと国民たちは必死になって、もう一層熱心に食料を探し始めた。
あぁ、なんて醜いのだ。
食料は全て僕が持っている、探してもどこにもないのだ。
何も知らない馬鹿で惨めな国民たちよ。
それから数日後、未だに生き続けている国民に我慢できなくなり、ひとりずつ死刑にしてやった。
尖った物で刺したり、熱湯で窒息させたり、重たい石を上から突き落としたり。
面白かったなぁ。
国民たちは山のようにいるので、次から次へと飽きるまで殺し続けた。
何も言わずに大人しく殺される国民たちを見ると恐ろしいほどに快感が走った。
王さまって最高だ。
そんな死刑執行114匹目の最中、僕のママの声が聞こえた。
「うわぁ、汚い。あの男にそっくりね。死んじゃえばいいのに。」
ぼくは一瞬息が止まりそうになり、咄嗟に俯いた。
「あー、あいつが前の男との子か。気持ち悪いね、蟻の巣に向かってなんか話してるし、笑える。」
男と一緒にいるみたいだ。
「ほんと、いつもそうだから。気持ち悪くって。最近餌、やってないから、野垂れ死ぬのもそろそろだと思うんだけどね。」
「餌って言い方だろ。まぁ、あの子にはその言い方が似合うかもしれないけどね。」
恐る恐る顔を上げるとママと目が合ってしまった。
その瞬間、ママは鬼の形相をして怒鳴り散らす。
「何見てんだクソガキ!!害虫!さっさと死にやがれ!!!」
僕はすぐに目を逸らし、また、さっきよりも深く俯いた。
大丈夫大丈夫。
震える手ではち切れそうな心臓をさする。
平気平気。
僕は王さま、強いのだ。
涙が出そうな目を拭う。
だから、今日も蟻の国民たちを殺し続けていく。