表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平均アイテムドロップ率85%の異世界  作者: 888回目の良い香り
4/15

奴隷、物色

「なあ、おっさん、俺は奴隷が欲しいんだ」


 ギルドのおっさんは、俺の第一声に露骨に訝しげな顔をする。

 やめろ、そんな目で見るな。


「お前は、それでいいのか?」

「違う、誤解だ。俺は仲間が欲しい。そのために奴隷は有効な手立てだと思うんだ」

「仲間ならここのギルドで揃えればいいだろ」

「それではだめだ、俺は奴隷を所有したいんだ」

 

 おっと、これではただのゲス発言だ。

 しかし俺は男、そしてこのおっさんも男だ。

 男であるならば俺の気持ちが分かるはずだ。


「おっさん、結婚はしてるか?」

「ああ、してるが」

「今の奥さんを好きになった時のことを思い出してみな…可愛かっただろ?美しかっただろ?そんな奥さんを、自分だけのものにしたい。そう思ったからあんたは結婚したんだ、違うか?」

「お前なぁ、結婚と奴隷では話が違う」

「違くないさ、俺は奴隷であろうが愛せる自信がある」


 もはや自分でも何を言っているのか分からないが、ここで折れるわけにはいかない。

 奴隷商なるものは間違いなく裏社会側の話だ。

 そうやすやすと奴隷屋さんが見つかるわけもない。

 だからこそこうやって媚売って、場所を聞き出すほかない。


「いやまあ、奴隷屋ならこの建物の裏にあるが…」

「あるんかい」

「奴隷はこの国じゃ合法だからな。ただ俺はあまり認めたくはないな」

「俺は完全肯定派だけどな」


 良い話が聞けた。


「その奴隷屋に行けばいいんだな」

「そうだな、まずはその目で奴隷を見てこい。そしてもう一度自分を省みろ」

「おっさん、あんた真面目だな」


 流石スキンヘッド、イメージ通りだぜ。




 奴隷屋は本当にあっさりと見つかった。

 ただ、建物自体は主張が激しいわけでなく、むしろ控えめなくらいだから、気付けないのも無理はなかったのかもしれない。

 黒を基調とした、いかにもアンダーグラウンドな雰囲気。

 だが、闇の中の光は人一倍明るいんだよ。

 意味が分からない。


 奴隷屋に入店。

 うさん臭そうな…というかうさん臭い男が迎えてくれた。

 だいぶ太った、ピエロのメイクをしている男だ。

 素顔は全く見当もつかない。別につけたくもない。


「いらっしゃいませ」

「ここは奴隷屋だな?」

「如何にも。初めてのお客様ですな」

「おう」


 店の中は天井が異様に高かった。

 建物の骨組みが丸裸になってハッキリと目に見える。

 簡易巨大サーカステントみたいなイメージだ。

 だからこいつピエロなのか?


「奴隷が欲しくて来たんだ。とびっきりの奴」

「左様でございますか。どのような奴隷をお探しで?」

「女なのは確定だ。とびっきり可愛くて、おっぱいがある奴」

「お客様、分かっておりませんな…」


 ピエロは俺を小馬鹿にするように言い放つ。

 そして俺に耳打ちをするように言った。


「女の奴隷の7割は、巨乳でございますよ」

「7割。なんて綺麗な数字なんだ」


 ああ、早くも俺は快楽に溺れてしまいそうだ。

 一刻も早く奴隷を買いたい。

 このピエロ、うさん臭いのは明らかだ。

 俺は完全に口車に乗せられている。

 だがそれでもいい、俺は女奴隷がいればそれでいいんだ。


「あーただ…」

 

 俺は自分でもびっくりするくらい急に冷静になった。


「もちろん、一緒に戦える奴であれば尚良い」

「そうでございますか…奴隷には様々な使い方がありますからな」


 戦闘に加担させる奴隷、雑用をさせるための奴隷、そして性奴隷。

 俺の場合、雑用をさせる気など更々ないけどな。

 そこらへんはちゃんと考えている。


「…奴隷の相場っていくらくらいなんだ?」

「そうですね…平均して一体10万ゴールドは下らないかと…」


 10万ゴールド…。

 うーむ、まあ商品に命がある以上、それくらいはするか。


「値段は奴隷によって変わるのか?」

「ええ。奴隷の種族、容姿、体調、能力などによって値段は変わってきます」

「そうか…10万下回るとまともなのは買えないと思っていいってことだな?」

「おっしゃる通りです」


 ふむ、厳しい道のりだ。

 所持金が2000ゴールド程度の俺にとって、今の最低50倍頑張らなければ奴隷には手が届かないということだ。

 だがこれも単純計算。

 俺の好みの奴隷が10万ちょいで買えるとは限らない。


「もしあれでしたら、一度ご覧になりますか?」

「お、いいのか」

「ええ、お客様が求めるような奴隷でしたら、右奥の部屋にありますので」



 ピエロの後に続き、扉をくぐる。

 そこは先ほどいた空間に比べてやや薄暗かった。

 一つ一つ鉄の檻で仕切られている。

 流石は奴隷と言ったところだが、足枷や首輪をしている奴隷はいない。


「意外と自由にさせてるんだな」

「出来るだけ傷のない状態でお売りしたい次第でございますので」

「プロ根性だな」


 俺は一個一個鉄の檻を覗いていく。

 頭から耳の生えた奴隷や、尻尾の生えた奴隷、肌が若干赤っぽい奴隷や青っぽい奴隷もいる。

 

 そして、これは一番大事なことなのだが、全員可愛くて巨乳だ。

 俺が一番重視すべきポイントを、ほとんど全員の奴隷がクリアしていることに俺は感動している。

 男の奴隷もいるが、そいつらだって美男子揃いだ。


「綺麗なもんだな、奴隷も」

「努力故でございます」


 

 その時、俺はある一人の奴隷に目が止まった。

 それは、淡い空色の髪が綺麗な奴隷だった。

 瞳は翡翠色をしていて、肌は色白で、細身だが胸は大きい。

 顔立ちは端正で、頭が小さい。

 青緑系の色に反して茶色い尻尾と、頭から生えた茶色い耳は、良いアクセントになっている。

 俺が目を見ると、その奴隷は恥ずかしそうに俯く。


 運命とは、いつでもめぐりあわせなのだ。


「おいピエロ」

「いかがなさいましたか?」

「あの子はどんな奴隷だ?」

「あー、あれは亜人種ですな。髪の色や肌の色から見て、恐らく雪国で生まれたと考えられます」

「そうか、ごくろう」


 俺は空色の髪の奴隷に近づく。

 奴隷は依然、顔を伏せたままである。

 構わない、顔を伏せたままでも。

 

「名前は?」

「ラトアーネでございます」


 なんて澄んだ美しい名前なんだ。


「この子、ラトアーネは、いくらだ?」

「32万ゴールドでございます、お客様……――――――お客様…?」


 たっけ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ