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平均アイテムドロップ率85%の異世界  作者: 888回目の良い香り
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世界、到着

 目が覚めた俺はベッドに寝ていた。

 窓からふと見える景色は、中世ヨーロッパ風、RPG風の街並み。

 どうやら本当に異世界に転生されたようだ。

 実に爽快な気分だ。

 

 姿見で姿を確認してみるが、容姿は一切変わっていない。

 服装は若干お洒落な感じになっているようだ。

 元いた世界にはないセンスだが、嫌いじゃない。


 扉を開けると、そこはすぐ外だった。

 扉の脇には、”アユム・キサラギ”の文字。

 異世界の文字のはずなのだが、普通に読めた。

 そして何が一番すごいって、ここが俺のマイホームだってことだ。


 あの神様は本当にご厚意が素晴らしいな。

 てっきり野宿だの宿屋だのに挑戦するものだと思っていたが、そんな必要もなさそうだ。

 もちろん、部屋は一部屋だし、広いとも言えない。

 広さ的には六畳一間、その3分の1ほどをベッドが使っていた。

 だがこれで十分だ。


「カッパドギャラス!カッパドギャラス!」


 突然、俺の家の前を、奇妙な馬車が通って行った。

 馬車と言うか…鳥車?

 青い綺麗で巨大な怪鳥が、車を引いている。

 鳥を操っていた男は、意味の分からない言葉を発していた。

 まあ、俺への手厚い歓迎だと受け取っておこう。


 

 まずは所持品を確認。

 所持品、特になし。

 これはマジで焦った。

 家の中に入っても、あったのは変な本とか、水道とかそういう必要最低限のものだけだった。

 洗濯機もなけりゃテレビもない。

 まあ異世界だから当然か。

 文明的には遅れてるという表現が正しいのか。

 ただまあ、魔法はあるそうだからその辺に関しては進んでいるな。


 

 俺の前を通った、二人組の男。

 如何にも異世界といった格好をしており、剣を腰に下げている。

 テンガロンハット的な帽子もお洒落だな。

 もしかするとあいつらは、”冒険者”かもしれない。

 俺も付いて行ってみよう。



 後を付けていると、男二人はある建物に入っていった。

 ギルドと書かれた建物だ。

 割と大きい。



「お、兄ちゃん見ない顔だな」

「あんたも見ない顔だなおっさん」


 俺は適当に返した。

 スキンヘッドの恰幅の良いおっさんが出迎えてくれた。

 人がよさそうだ。


「冒険者志願か?」

「なんだ、俺がまだ冒険者じゃないって分かるのか」

「そりゃあ俺は20年以上もこの場所で色々な冒険者を見てきたからな。そんくらいは一目で分かる。兄ちゃんは冒険者の体つき顔つきじゃねえ」


 確かにまあ俺は痩せ型だ。

 学校の健康診断でも、毎回のように「痩せている」判定。

 だが、痩せているくらいの方が最近はモテるんだとか。

 まあ別にだから敢えて痩せているわけじゃないんだがな。

 モテたいのはマジだが。


「冒険者になるのは簡単か?」

「ああ、そこが冒険者の良い所でもある。気軽になれて、気軽にやめれる」

「いいのかそれ。職業だろ一応」

「結局金になりゃなんでも職業ってこった」


 犯罪すらも肯定してしまう危ない発言だな。

 まあ本意ではないのは分かるが、あながちその通りかもしれない。

 結局金になれば、それはそれだ。

 

「兄ちゃんあれか。楽して稼ぎたいタチか」

「おう。楽が出来りゃ一番だ。努力ほど無駄なことは無い」


 努力している方々にぶん殴られるのは覚悟の上。

 だが俺には既に、努力せずとも成功を収めることのできるスキルがある。

 アイテムドロップ率85%、冒険者にはぴったりのスキルだ(そんな気がする)。


「んじゃ、この紙に名前を書きな」


 俺はペンと紙を渡された。

 とりあえずカタカナで”アユム・キサラギ”と書いてみようとする。

 しかし、カタカナで書いたつもりの俺は、見たこともない文字を書いていた。

 しかし、しっかり”アユム・キサラギ”と読める。


「アユムだな」

「お、おう」


 んー、言語とか文字の概念は、心配しなくて良さそうだ。

 そのうち慣れるだろうし、文字から覚えなきゃいけないとかじゃなくて良かった。


「さて、記念すべき最初の仕事、どれにする?」


 おっさんは依頼書が貼ってあるボードを差し出した。

 ボードの右上には、”Eランク専用”と書かれていた。

 言わずもがな、俺は駆け出しのEランク冒険者というわけだ。


「別に何でもいいんだよな~」

「荷物運びとか、薬草採取とかが良いかもな」

「でもそれじゃつまらんだろ」

「じゃあこいつはどうだ?」


 おっさんが指し示したのは、所謂調達の依頼だった。

 ビットゥの毛皮を5枚調達してほしいとのことだ。

 報酬は1000ゴールド。


「ビットゥってなんだ?」

「知らねえのかい?ビットゥはウサギの魔物さ。ビットゥがドロップする毛皮を5枚とってこいっていう内容だな」


 ドロップ!

 これだ、俺にぴったりの仕事ではないか!

 調達任務となれば、アイテムドロップ率85%の俺に任せろって話だ。

 

「よし、じゃあそれでいいや」

「ビットゥはそんなに強くねえから安心しな。ほれ」


 おっさんは俺に一本の剣を渡した。

 しっかりと鞘にしまってはあるが、だいぶ錆び付いている。


「俺からの支援、錆びたショートソードだ。最初だけだぞ?」

「気持ちは有り難いけど、これ大丈夫か?」

「ビットゥ程度なら最悪素手でも倒せるから問題ねえよ」


 俺はその錆びたショートソードを片手に、街を出た。



 

 記念すべき一回目の依頼。

 街を出ると、至る所にウサギがいるのが分かった。

 勘だけど、たぶんこれがビットゥだな。

 早速剣を抜く。


「ビットゥさん、こんにちは」


 丁重に挨拶をしながら近づくと、ビットゥはおびえて逃走。

 なるほど、これは楽勝ですわ。

 だって向こうから攻撃を仕掛けて来ないんだからな。

 俺は逃げるビットゥに追いつき、剣を振るう。

 ビットゥはいとも簡単に両断され、煙と化した。


「なるほど。魔物は死ぬと跡形もなく煙になるのか」


 跡形もなく、とは少し語弊があった。

 その場には、何枚かの硬貨と、毛皮、そして肉が落ちていた。


「ん?」


 硬貨は占めて100ゴールド。

 毛皮は1枚だけで、気になるのは肉だった。

 これまた俺の勘だが、この肉はレアアイテムな気がする。

 レアと言っても、ドロップ率70%くらいのやつだ。

 序盤でドロップされると助かるタイプの。

 早速スキルの効果が発現したと思っていいだろう。



 俺はその調子でビットゥを斬り続けた。

 剣を握って振るうのなんか初めてで、何度か空振りもしたが、それでも簡単な作業だ。

 やっているうちに、こんな楽な作業なら依頼してくんなとか思っちゃってた。

 ダメダメ、これも一応仕事のうちだからな。



 結局、30分くらいビットゥを倒し続けて、毛皮を22枚と肉を15個、そして2500ゴールドを手に入れた。

 既に報酬金額を超えているが、まあ25匹も倒せばそうなるだろうな。

 25匹倒して、毛皮が22枚。

 確率的には88%。

 25匹倒して、肉が20個。

 確率的には80%。

 平均してドロップ率は84%だ。

 すごい、ほぼドロップ率85%だ。

 これはやばいな。


 とにかく俺は、一杯になった報酬をおっさんに貰った袋に入れて、街へ戻った。


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