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1話前編~兄妹~

「で、結局どこまで覚えてんの?」

テーブルを挟んで二人向き合い話し合う。姉は準備中なのでこのタイミングで少しの疑問を問えば話をかき回す邪間もなく、答えてくれるだろう。

「本当に、覚えていないんだ。騎士であること、その程度しか」

ちなみに敬語じゃなくなっているのは明らかに年下と見れないというか、ムズムズするので砕けた口調にしてもらった。

「ウェルドラン北部の騎士、デラ・・・・・・解らない。言葉は知っている。だが、その意味が忘れてしまっているのだ。本当に、申し訳ない」

「いや、何日も経てば思い出してくるよ。それかふとした瞬間に全部思い出したりさ」とフォローしておく。なんだか、彼女の暗い顔が見たくないので、と言ったらキザだろうか。彼女のためじゃない。自分のためにフォローした。

「ありがとう。そう言われると今にも思い出しそうだな」「本当か?」「ううん、思い出せない」・・・・・・だろうね、と苦笑。

準備を終えた香穂が「行くよ」と二人に呼びかける。

夕花(女騎士)にとっても初めての外の世界。顔を見るに少し嬉しそうだ。

「アンタしっかりエスコートしなさいよ?この家に住むんだからさ」

「お、う。まかしとき」「なにそれ、アッハハ」ちょっと動揺したのがばれて笑いを生む。

「学校にも転入させなきゃだしね。慣れってのが必要なワケよ」

ん?え?

「学校行くの?夕花が!?ええええええぇぇぇえ!?」

明らかに未成年には見えない感じなんだけど、できるの?書類とか何やらは・・・・・・違法入国どころじゃない、違法入界?

「そこらへんはお姉ちゃんに任せて、ね!弟?兄?として頑張って。後はよろしくね」

「・・・・・・」土台はしてやるから後は俺に任せるってわけかな?

いつものことでまぁ、いっかと思う。(姉には流されてばっかりだな、直さなきゃなと思っていても次にも流されるだろう。考えるだけ無駄なことだ。)



「うおお・・・・・・!おおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」

デパート。簡略的に言って人が多い建物。その多さに驚愕したのか入り口で大声を出す。心底田舎臭い反応なので恥ずかしくなったが、嬉しそうなので良かった。

「こいつら、亡者、ではないな?殺しは、いけない」と危なげなワードを口にする彼女。楽しんでいるのか?

「まずは服だったよね」「ああ、今は私の服を貸しているが・・・・・・胸が少々キツいらしくてな」「姉ちゃん暴虐怪獣ヒンヌーだからな。栄養が暴力と、いててててて!!!」

「口と手と足、どれが一番要らない?」と両手で頭蓋骨粉砕機のように締め付ける。

(弟に対する慈悲も無いのか!)と言いたげだったが、逆に火に油を注いでしまう可能性があったので口には出さないでおいた。


気を取り直して。俺は散髪、香穂と夕花は服選び。といった感じで解散し、メールで知らせるという今日のプラン。

散髪のほうは今までにない髪型。右目が隠れそうになってはいるが、全体的に軽くしてもらった。1500円也。


「夕花ってさー、どんな服が好きなの?これとかさ、これとかさ」

「こ、これは派手過ぎないか・・・・・・?私には、その」

「これぐらいがいいじゃんいいじゃん!胸が大きいんだからさ!このぐらいが似合ってるんだって!」

「りょ、露出」「これぐらいがいいって!ホントに!!」

「なにやってんだこんたとこで!」

香穂が夕花を売り場中央で無理やり服を脱がそうとしているのを見かけ、丈は香穂を突き飛ばした。その際に、体制が崩れた香穂が試着室のドアを掴もうとしたが、開く方向に倒れていたためドアは開き、香穂は倒れた。試着室の中には客が居るのが靴で分かったので少し、少し期待したのだが・・・・・・

「イ“ヤ”-ン“」とかすれ声。

脱いでいる途中だったため肌が露出している熟女。女優さんのような綺麗なモンじゃない。中年熟女、肌露出。そんな汚染レベルの化学反応は要らないよ!と目が拒否反応し、吐き気がこみ上げてくる。「オエェ」と反射神経か何なのか。もうこの店には来ることはないだろう。


「酷い目にあったよ。もうあのデパートには行けないなあ・・・・・・散髪屋も可愛い子が居て・・・・・・いやそんなことはない。断じて、うん」と被害者面で取り繕う。それに対し香穂は「まあいいじゃない。家から遠いしヘッチャラヘッチャラ」と陽気なものである。家の近くにの散髪屋はここにしかないというのに。幸い散髪屋とは遠いので良しとするしか心を落ち着かせる術はなかった。

次は家具ね。と三人で売り場に向かっている途中でバッタリと会った。

「あれ?丈?」と声を出したのは友人の‟富田裕一”。

「こんにちは」と恥ずかし気に顔を赤らめたのが裕一の妹‟富田若葉”。

「アネさんも、おおお、あの」と照れ気味の裕一に対し「こんちは!キミ達もサボり?いい性格してるねえ~!YOUは何しにここへ?」とからかう香穂。とても金髪に染める人がする態度ではない(髪を染める人は大胆という丈のイメージ)

「丈さんも、今日はサボりなんですか?」「まあね、同居人も増えたし・・・・・・」

と言って「こっちは志真夕花。えっと~」「従妹ね!従妹!」と言葉を濁らせようとしたら直球で嘘を言ったので焦る。

「ちょっとちょっと」「いいの!」と言いくるめられた。本当にこの人はと呆れているうちに夕花と富田兄妹が喋っていた。

「どこから来たの?」という若葉の問いに口ごもる夕花。「香穂さんって家では・・・・・・」と全く関係ないことを聞く裕一。

「そ、そろそろ行きましょう」と質問攻めに困惑気味になり俺に助けを求める。知らない人から積極的に話しかけられるのは苦手なのか、と親密感を覚える・・・・・・失礼だが。

次の目的地に向かおうとすると兄妹は「少し待って!」と俺たちを止める。まだ質問し足りないのかと呆れた。

(お前と丈を二人っきりにしてやる、久しぶりだかんな。自信もってやれよ)(わかった、うん。兄貴も)と耳打ちは丈が思っていたのとは違うものであった。

丈も香穂もその様子には気づいてはおらず、夕花に至っては動く玩具と格闘していた・・・・・・何やってんだ。

気づかない三人を尻目に二人はひそひそ話を続けている。

(名付けて≪丈&若葉、裕一&香穂さんカップル成立作戦≫だ!)と意気込む二人。

(大丈夫かなぁ・・・・・・できるかなぁ)と心配する若葉。

(絶対にやってみせる・・・・・・よぉし)と意気込む裕一。

毒牙になるかキューピットの矢になるか。どうなるか。


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