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プロローグ~聖洸から舞い降りた女騎士~

異世界から来た女騎士、俺、姉、親友、親友の妹+α

そんなやつらのふざけた日常であります。

デルダの地に臨むは大剣を掲げた騎士«アネオン»。

行く手を阻みし黒騎士 面 醜悪也。

剣技良好 アネオンは手も足も出ず

彼の地に滞在するは愚の骨頂、育った地は悪し 師も悪し

苦闘の末 敗北せり 師を恨み 大衆の面前で辱めを受け 死せよ

刹那、地に光宿る 

餓狼の使者は死して業火に焼き消える

その光はアネオンを包み込む

聖洸なるは正義の象徴 アネオンは聖洸を手にする

光は彼の地を包み、平穏は続かん

この書は幾億と言われる程前の物語。

ウェルドランの、物語。




俺は志真丈。なんの変哲もない肌寒い夜。そろそろ髪を切らなければならないと考えながら布団に潜り込むという、昨日と同じと言ってもいい程の夜(結局髪を切る時間はなかった)。そんな夜の丑三つ時と言われる時間帯に下服部が尿意衝動に駆られて起き、トイレに駆け込む。俺にとって放尿は食事のようなもので、唯一楽ができる空間(時間)である。便器の中からたまに吐瀉物特有の酸っぱい臭いがするが、それを抜いてもトイレという閉鎖空間は・・・・・・と考え込んでいる内に全て放出した。姉を起こさないように物音を立てずに自分の部屋に戻っていく。トイレの音は配慮してないことに気が付いたが気にはしないでおこう。跡が怖いが。

姉の起床は早く、気性も荒い・・・・・・とゆーダジャレは好かん。

と馬鹿なこと考えていたら眠気も覚める。明日は日直の仕事で姉と同じ時間に起きなくてはならないので布団に潜り、目を閉じようとすると事件は起きた。

突如天井が謎の光に包まれて奇妙な音を奏でている。それもただの光ではなく目が見えなくなるほど強い光。目くらましと同様と言ったほうが早いであろう。

目を閉じる。困惑していると上からずしっと重さを感じた。

金属を纏った人の重みであった。

その重さに混乱したのか、重みをベッドから突き落とし急いで電気を付けると、やはり人の姿があった。

中世の騎士の様な銀色の鎧を着た女性。兜が枕元に転がっており脱げたらしい。髪は金髪。女性。そんな人が気を失いベッドの下に倒れている。いや、俺が倒したのだが。

(沈黙の俺。気を失っている女。口元に手を当ててみたところ息はしている。こんな一軒家で死体が光から現れたなんて言い訳できないからなぁ。)

宿屋でもそんな言い訳はできない。とにかく布団を箪笥から取り出し、掛けようとしたら彼女の目が開く。

「だ、大丈夫?」と声を掛けると彼女はぽかんと口を開いて立ち上がり、枕元の兜を被る。

「こここ、ここはどこだ!?お前は!?あれ?なんだこの言葉は・・・・・・何故・・・?」

彼女は相当戸惑っているようで俺から逃げるように壁にぶつかり「いた」と小声で言い部屋を見渡す。

「私は・・・・・・聖洸に包まれてそれから」

「あの、さ。君は・・・・・・」

瞬間彼女は腰に掛けている鞘から剣を取り出と目の前で構える。ガチャンと鎧は音が鳴る。ああ、映画で見たやつだ。そんなことしか頭に過ないのに自分に呆れ、状況に驚き腰を抜かす。普段から使用されているような傷、本物らしき剣だ。

「ここは何処か言え!貴様!!」「いや!いきなり怒鳴られても!ここは俺の家で俺の部屋!名前は志真丈!17歳で男!」

パニックになって洗いざらい話してしまった。恐ろしい姉を起こす起こさないという問題なんて頭の中には入ってない。ただ本能的に目の前の恐怖から助かろうという本能。それが体を、口を動かした。

「シマジョウ?私は・・・・・・私は・・・・・・・」と名乗ろうとするが言葉が出てこないようだ。瞬間顔が青ざめ剣を床に落とす。

「名前が、思い出せない。何故だ?聖洸による影響か?どれほどの対価を」

「なんだか解んないけど座って、落ち着いて」と話終わる前に「こんな状況落ち着いていられるか!?お前こそ落ち着いていないだろう!まずは貴様を切り裂いてやるッ!!!」

彼女は好戦的なようで、異世界から来たのか何なのか。そこでは積極的に魔物を切り裂いていたのだろう。志真丈は死を覚悟し、走馬燈が頭の中でぐるぐるとはい回る。

心の中で来世への祈りを捧げようと両手を合わせる。するとドアがバァン!と開く、その姿は自分よりも身長が高い姉«志真香穂»である。香穂は右手を握り締め女騎士の後頭部を殴る。兜を着けていたはずだがガンという音が家に響きわたりカランと無残に落ちたのが分かった。

本来怪我をすることのない装備であるが香穂の手にはメリケンサックがつけているのが分かった。道理で。大声で香穂が「うるせぇんだよ起こしやがってよぉ!!!」と叫ぶ。俺はその状況を黙って見ていることしかできない。呆然としたまま腰が抜けている。

「お前らは寄ってたかって・・・・・・く!このひ弱そうな男は囮だったと言うのか!戸惑っていたとはいえ、それを見抜けなかった私も未熟者という事か」

と膝が地につく。香穂の足元に剣を置くと女騎士は「何も言わず私を殺せ。このまま生きているのであれば惨めというものだ。さぁ!首をォォッ」

頭を下げてうなじを見せて懇願する。そんな状態に香穂は混乱し泣き始める始末である。

流石に見ていられなくなり「待った待った!」と言うと二人はこちらを向く。

「まぁまず落ち着いて。どこから来たのかとか色々、話して貰わないと俺も分からないし」

女騎士は平常心を取り戻し香穂が泣き止んでいるのを確認するとリビングに移動してお茶でもすすりながら自己紹介を始める。

「私はウェルドラン北部のデラ代表の騎士・・・・・・それしか覚えてはいないのだ。名前も年齢も、性別さえ」

性別は普通に女だと思うぞ。

「アンタ女じゃない」と先に言われてしまった。まぁいい気を取り直して。

「俺はさっきも言った通り志真丈17歳。えー上から」「言わんでいい!私はコイツの姉の志真香穂。28歳フリーター、はどーでもいいの!どーでも!あははは」とさっきまで剣を振るおうとしたりメリケンサックを装備した手で兜を割った人たちとは思えない順応性・・・・・・冗談を言おうとしたり、そんな二人とリビングで茶をすすっている俺もだが。

「ねぇ丈」と耳打ちしてくる姉に「なに?」と返答。「面白い娘ね」「世間知らずなだけなんじゃないの?」と適当に返しておいて、そこからはいはいと心にない返事を続けていた。いい加減に眠いのが原因である。

「家に住ませてあげようよ」

「はいはい・・・・・・ん?なんて?」

「難聴?南朝帝国?おっさんじゃないんだから。まだピッチピチなんだから耳ぐらいはちゃんとしててよねー」

しょうもないギャグに気も付かず。世間知らずで俺の部屋で剣を構えるへっぽこ女騎士を住ませる?自分の名前も分からない女性を?

「却下!捨てよう今すぐ!!」「人の血も通ってないわけ!?こんな土砂降りの中家から放り出そうとするなんて最低の屑!男の中の屑の男!クラミジア!だいたいアンタはネコを拾ってきたときもあーだこーだなんやらかんやら言って保健所に送り付けたり・・・・・・」

こうなると姉は止まらない。丈がしてきたことを掘り下げて難癖言ってくる。事実なのだが一部盛っているのがストレスにもなる。ネコの件は(近所のネコ好きに譲った)のが正解。こんなんだから一週間足らずで彼氏にもフられるんだろ。と言ったら言葉が止まり鉄拳制裁が実家特有の雰囲気にも似た、なんというか安心できるオチなのである。

「で、覚えてないの?全部?」

と姉。そんな訳がない。剣の構えはゲームで見た通りの構え。彼女が持っていた剣も素人が扱えるような重量ではないことも確認済みである。

「つーかさっきもベルなんたら言ってたでしょうが」「それもそーね、寝ぼけてんだわ私」

「あ、ウェルドラン北部のデラの騎士。ですか?」

「そうそれ、まるで中世ヨーロッパとかの名前でよくわかんないんだけど」

ごく普通の疑問。問いかけに彼女の表情はこわばる。

「知る必要はありません。異世界の民が知ってしまえば・・・・・・「いいじゃない!こーんなところに落ちてきた時点で私たちは被害者な訳ジャン。今更どーもね、野となれ山となれ。それに尽きるわ」と言い終わる前に口を挟む。それに対し「ですが、私がこんな家に居るとあなた達に被害が、及んでましたね」「そう!安眠妨害安眠妨害」

なにがそう!なのだ。なにが。

「そー言うわけで今日の仕事は休みます!アンタも学校休みなさいよ!酒に付き合いなさい!」「未成年!未成年だからパス!」「ノーパス!」とお酒強要、してはいけないよ。

泥酔しながら姉が「今日は学校も仕事も休んで騎士さんの服を買いに行く」と提案した。俺も丁度散髪したかったのでいっかな。

夜中に酒を飲んで、無断欠席。ちょっと悪いコになったキブンです。



こうして姉の鶴の一声で女騎士は家に住むことになった・・・・・・。これでいいの?

「アンタの名前決めなきゃね!えーっとぉ夕花!夕花が良いんじゃない?」

「なんでユウカ?なのさ」「志真夕花、いいじゃない!雰囲気よ雰囲気シマユーカシマユーカ」「まぁ、いいけど」

人の名字を同じにした挙句、雰囲気で名前まで決めていいのか。

志真夕花。とにかくめでたく一家入りを果たしたのである。


初めての小説で右も左どころか前や後ろも分からないものでした。

見てくれたのなら、楽しんでくれたのなら幸いです。

随時改文すると思うので見比べるのも楽しみなのかもしれませんね。

もちろん投稿だって。

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