二つ目の愛④
先生の研究室には心理学についての本がたくさんあり机の上はビタミンB6、マグネシウムと書かれたサプリメントや心理学の本、授業で使う本などが置いてあったが綺麗に整頓されていた。『中川さん、愛にはいろんな種類があってね。まずはどんなものがあるかその一端を覗いてみようか。』といい本棚から一冊の本を取りだし私に手渡した。先生はその間ケトルに水を入れスイッチを入れた。『コーヒーでいいかな?まぁコーヒーしかないのだけど』椅子に腰掛け本を開こうとする私は『ありがとうございます。』とだけいい活字の世界へと飛び込んだ。
愛には大きく分けて4種類存在し『本能の愛』『心情の愛』『良心の愛』『存在の愛』であると書かれている。『もうすぐ授業でやるから丁度予習になっていいかもね。』そういってコーヒーの入ったカップを私の前にある机の上に置く。そのあと先生は用件が出来たらしく『ちょっと出てくるよ。また帰ってくるけど暗くならないうちに君も早く帰りなさい。』と言い研究室から出て行った。時計を見ると短針は6、長針は2を指していた。普段から本はよく読む方だと自負していたがこの手のジャンルは手につけていなかったので、些か頭に入り辛くこの内容を教授する先生への評価が高まった。少し経つと研究室に誰もいないことをいいことに数秒間目を閉じていた。次第に意識は深く水の底に落ちていったが突如唇になにかが当たるのを僅かに感じた。目を開けようとしたが一度水に足を取られた意識は浮き上がることはなく再び目を開くと短針は8、長針は10を指す時計と嬉しそうな顔をした先生の姿が視界に入った。
『よく眠れた?疲れてたのかな?』と嬉しそうな顔をしたまま先生が言う。『もうこんな時間だし送っていこう。バイクでこの時間だと少し寒いかも知れないけどね?中川さん家はどの辺り?』と尋ねてきたので自分が今住んでいる賃貸の大まかな位置を伝える。
『私の家から10分ほどだったんだね。方向も同じだし丁度いい。さ、早く支度してここ閉めちゃうから。』そう言うと先生は飲みかけのコーヒーカップを流し場に置き鼻歌混じりでそれを洗った。




