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魔女が落とした宝物  作者: 内藤ナイト
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二つ目の愛③

 『私にこんな質問をしてくる生徒は君が初めてだよ。』5月の連休に入る前に私が先生にこんな質問をした。

 『愛ってなんですか?』今自分の中一番興味が沸くものだったので恥ずかしくはなかったし、質問された先生の方も別段動揺する様子はなかった。

 『見たことはないね。まぁ実際に見えるものじゃないと思う。感じると表現するのが私は一番しっくりくるかな?中川さんは?どう考えてる?』

 まさか質問した側が質問されるとは思ってもみなかったので少し動揺したが、『今それを見つけようと興味が沸きはじめた所でした。目には見えないし数値化できないのになぜこんなに惹きつけられるのか。』愛についてここまで真剣な考えをもつ同年齢の人は両手で数えるほどしかいないだろうと私は思った。

 これは私の憶測に過ぎないが私くらいの年の人間は外見がかっこいいから、会って数ヵ月しか経ってないのに気が合うという理由を背に付き合っているものだと思っていた。要は互いに心の理解が及んでいない間に恋愛が成立してしまっていると考えている。高校生の頃の自分も理由は違えど似たようなものだと思ったから尚更周囲もそうなのだと思っていた。

 先生が言ったように視認こそできないが高校生の頃私は確かに愛を感じたのだ。しかしその愛は世間から評価すると特別なものであり一般的な愛というものを知らない私は不安になっていたためこんな質問を問いかけたのかもしれない。

 『中川さんは今まで恋人はいなかったの?』ただのセクハラだと思ったがこれもまた愛について重要な質問と深く考えていた私は素直に受け答えをする。

 『今はいません。高校生の頃1人だけいましたが別れました。』今度は先生が少し動揺して再び口を開く。

 『君みたいな外見に優れた生徒ならサークル勧誘の時にでも引く手数多だったでしょう?それに高校生の頃も1人だけとなると君が愛に拘る理由とこの交際数は関係してるのかな?』

 心が揺れたが今度は顔には出さずいつも通りの表情で数秒間無音が続いた。『まぁいいさ、丁度私も次の研究テーマに悩んでいてね。良かったら一緒にやってみない研究?』

一瞬の戸惑いも生じることなく私は首を縦に振り『よろしくお願いします』と先生に伝えた。『よろしい、まずは研究室に行こうか。』そう言うと先生は嬉しそうに教室から廊下へと足を運び、私は後に続いた。

これが私と先生の『愛』についての研究の始まりだった。

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